こんにちは。編み物の妖精です。
こちらは編み物マニアから初心者さんまで気になりそうな本をピックアップして独断と偏見で紹介するコーナーです。
今回は…
『ひと目で分かる新編物割り出し表 ニット・コンピューター』
飯田欽治著 1980年刊 252ページ 2,951円(当時販売価格)
「あなたはこの本を手にとられて、数字の多いのに、いや全く数字ばかりなのに、びっくりされたことでしょう(原文ママ)」
冒頭からこうあるように、この本の98%は表と数字で埋め尽くされている異色の技術書です。
編み物最盛期に割り出し計算をいかに早く、美しく効率的に進めるために生まれ、後に「飯田式」とも呼ばれる飯田欽治氏考案の割り出し表。まさに、この1冊がコンピューターの役割を果たす驚愕の1冊なのです。
簡単に言ってしまうと、丸み・斜線・袖山の増減目の割り出し計算を「計算しなくともこの表を見ればOK」というものなのですが、一読のみならず、何度ページを開いても全く内容が頭に入ってこず、現在においてはもはやオーパーツのように感じるほどの数字の奔流。
先人の恐るべき熱意と緻密な計算から生み出された割り出し表に圧倒されてしまいます。飯田氏の言葉には、
「最後につけ加えてお願いいたします。この本の表のすべてをすぐに使おうとしないで、あなたが、その効用と使い方について納得のいくものから、先ずお使いになってください」
「使い方も、要するにできた作品が美しければよいのですから、ご自分の使いよい方法で、自由にお使いください」
…まだまだこの表を使えそうにない自分の技術力と先人たちの編み物に対する熱意を思い知らされました。
「あみものゲージスケール」も付録についた、割り出し計算に関する英知が詰まった1冊です。