ハイカラさんの編造花術

百合(ユリ)

公開日 2022.09.13 更新日 2023.06.15
ライター=北川ケイ(彩レース資料室)

コラム
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北川ケイ(彩レース資料室)
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『九重編造花法 松の巻』寺西緑子著より(明治40年)

 近代日本の手芸を研究している北川ケイと申します。


ここでは明治期、ハイカラさんの間で流行した編造花を再現するとともに、作り方のポイントを紹介していきます。第1回めは私の所蔵する明治40年発行、寺西緑子著『九重編造花法 松の巻』に掲載されている百合をご紹介します。

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百合といえば…

「歩く姿は百合の花」の諺通り、青空にすきっと咲く百合はとても清らかな花です。百合根は食用になり、ほくほくと甘く、美味しいですね。美味しいと思うのは人間だけではないようで…私の運営する「彩レース資料室」のすぐそば、湯河原駅前庭園の百合は、サルにごっそり食べられて跡形もなくなってしまいました。湯河原では、サルによる百合根被害は甚大なのです。

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【材料と道具】

白絹レース糸、レース針4~6号、針金#26、水彩絵の具、膠、大和のり、絹穴糸、フラワーチューブ、ペップ。


【編み方】

葉:作り目の鎖20目◇帽子編(細編み)1目編む◇長編みを編む◇最後の目に長編み3目を編み入れる◇一方の片側に移る◇針金を抱き込み同様に編む◇最後の目は帽子編と捨目(引き抜き編み)で止める。2枚編む。


花弁:作り目の鎖30目◇帽子編(細編み)1目編む◇短めの長編みを次第に長くして8目編む◇二重絡(長々編み)9目◇長めの長編みを次第に短く編む◇最後の目に長編み3目を編み入れる◇一方の片側に移る◇針金を抱き込み同様に編む◇最後の目は帽子編と捨目(引き抜き編み)で止める◇6枚作る。


仕上げ:水彩絵の具で染色、膠で仕上げ◇巻糸を巻いて組み立てる◇チューブに針金全てを通して結ぶ。

 

【ポイント】花弁の次第に足を長くする長編みは、編造花の特徴です。足を次第に長くして形作ります。針金を抱き込む編み方が難しければ、石井とみ子『編物指南』では綴じ針で針金を編んだ後から通しています。


画像5『九重編造花法 松の巻』寺西緑子著(明治40年)

北川ケイ(彩レース資料室)
ライタープロフィール / 北川ケイ(彩レース資料室)
日本近代西洋技藝史研究家。日本近代の手芸人の技術力と情熱に魅了され、研究している。(公財)日本手芸普及協会レース編み師範。(一社)彩レース資料室代表。彩レース資料室を神奈川県湯河原で運営中。 『美術九重編造花』スクール開講中。ヴォーグ学園東京校「ハイカラさんの手芸へタイムスリップ!」、読売カルチャー恵比寿、ユザワヤ芸術学院:浦和校、津田沼校
http://blog.livedoor.jp/keikeidaredemo/
北川ケイ(彩レース資料室)
ライタープロフィール / 北川ケイ(彩レース資料室)
日本近代西洋技藝史研究家。日本近代の手芸人の技術力と情熱に魅了され、研究している。(公財)日本手芸普及協会レース編み師範。(一社)彩レース資料室代表。彩レース資料室を神奈川県湯河原で運営中。 『美術九重編造花』スクール開講中。ヴォーグ学園東京校「ハイカラさんの手芸へタイムスリップ!」、読売カルチャー恵比寿、ユザワヤ芸術学院:浦和校、津田沼校
http://blog.livedoor.jp/keikeidaredemo/
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