学生達は夢を編む

ニットデザイン科ってどんなとこ?

公開日 2022.09.13 更新日 2023.12.19
ライター=御田昭子

学び
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御田昭子
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2023年に創立100周年を迎える文化服装学院。

現在、 約4,000名の学生が在籍し、服づくり、流通分野、そして靴やバッグといった小物作りを専門的に学ぶコース他、全30課・コースに分かれてファッションを学んでいます。

 

私が講師を担当しているのはニットデザイン科。服飾専門学校は数多くありますが、ニットに特化した科が設置されていることは非常に稀。アパレル企業において重要な商材であるニットについての専門知識を持つ人材を輩出するとともに、若い世代のカリスマ的存在となっている東佳苗さんrurumu:デザイナー)、衣装やインスタレーション、ハイブランドとのコラボレーションを行っている蓮沼千紘さん(ニットクリエーター)など、ニット業界全体を前進させるような際立ったクリエーターが卒業生にいることもニットデザイン科の大きな魅力です。

  

今回は、ニットデザイン科がどのような授業を行っているのか、学生たちの制作物を交えてを紹介していきます。

 

ニットデザイン科とは?

 

ニットデザイン科は、「商品としての服づくりの知識とスキルを蓄え、企画・生産のスペシャリスト」を育成することを目的としてファッション工科専門課程に属しています。1年次のファッション工科基礎科において服づくりの基礎を学び、2年次より各職業に沿った専門的なスキルを究めるために設置された各科へ進級するという3年制がとられており、ニットデザイン科の他には、アパレルデザイン科、アパレル技術科、インダストリアルマーチャンダイジング科があります。

 

もともと編み物が好きで、ニットデザイン科で学ぶことを目的にしている学生もいますが、技術面でいうと進級してくる学生のほとんどは編み物の経験がなく、一からのスタートです。

 

2年次ではまず、ニット業界の構造、糸や編み地、編み機の種類などの基礎的な知識と、手編み(棒針編み、かぎ針編み、機械編み)やニット独自のパターンメーキングや縫製法を学びます。布帛の服づくりとは違い、ニットは素材や染色、糸の組み合わせ、編み方などによってオリジナリティを出しやすいことに気づいた学生は作品づくり・課題への取り組みがぐっと楽しくなるようです。


3年次になると、2年次で学んだ基礎を土台に、一人一人のデザイン発想力を高め、多様な素材や編み方を組み合わせることでデザインを的確に表現する力を養います。また既製服としてのニットアパレルの商品づくりをマーチャンダイジング理論に基づいた演習で実施します。最新ニット専用コンピュータシステムによるデザイニングから製品化までを習得しつつ、企業コラボレーションにも積極的に取り組んでいます。このコラボレーションについては、また別の回で詳しくご紹介する予定です。


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ニットデザイン科合同展示会

 

夏季休暇前の7月には、2年生と3年生の合同展示会を学内で開催。2年生はニットデザイン科での初めての作品を、3年生は2年次修了作品と4月から制作してきたかぎ針カーディガンと、コンピュータニットでオリジナル柄を編み、縫製したカットソージャケットなどを展示しました。文化服装学院では一つの制作物を終えるごとに発表会を行っていますが、科の特性により、ファッションショー形式だったり、展示会形式をとったりと方法は自由。今回は新型コロナ感染対策も考え、展示会方式をとりました。


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画像1会場はニットデザイン科の教室向かいにある紫苑会館。案内表示も学生自らデザインし、デジタルテキスタイル演習室でプリント
画像22年生展示。機械編みで制作したプルオーバーとスカート。全員が初めての機械編みとあって大変でしたが、完成間近ともなるとだいぶ慣れた様子で編み機を動かしていたのが印象的


画像33年生展示。コンピュータニットによるカットソー、かぎ針編みカーディガン、ニット小物などを編み地発想で展示構成
画像4現3年生の、2年次修了作品コーナー。1年次での学びを生かして、布帛を組み合わせた作品や手芸の授業で習ったタッチングレースを取り入れた作品も


学生作品と一言コメント

 

インスタグラム等に制作物の写真をどんどんアップしているのも日常のこと。学内外でイメージにあう場所を見つけては、アパレルブランドのカタログ、はたまたインフルエンサーのごとく自分の作品を発信しています。ここでは独自の感性を持つ3名の学生をピックアップ。学生のコメントと共にご紹介します。



森竹未来(2年生)

「コンパニオンプランツという他種植物同士が支え合い、成長していく姿が、人種や性別を越えて愛し支え合う私たちと同じだと感じて。その互いの結びつきをデザインしたプルオーバーは、初めて編み機で仕上げた作品。最初は恐る恐るだった編み機ですが、学べば学ぶほど可能性が広がるとわかってからは、編んでいる時間が心の底から幸せです!」

Instagram:@crochet_mof

https://mikumoritake.wixsite.com/mikumoritake


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チョ ウォンビン(3年生)

「作品を作るたびに、石や自然の凹凸感を表現するのに力を注いできましたが、今回は初めてきらきらと光る綺麗な宝石(Gemstone)を表現することに挑戦しました。コンピュータニットは、スピード感はいうまでもなく、繊細な表現ができるのが好きなところ。手作り感を出すのは難しいですが、むしろ細い糸だからこそできる新しい表現に夢中です」

Instagram:@cho0nebin


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古川結琳(3年生)

「春の陽気をテーマにしたかぎ針編みカーディガンです。気持ちは春だけど、まだ肌寒い3月。春物を着たいけど、暖かい格好をしたい。そんな冬から春への季節の変わり目に着る春物です。いろいろな方向に編み進められ、編みながら形成もできるし、凹凸やフリルなども編みやすくて大好きなかぎ針編み。いつでもどこでも編める手軽さも!」

Instagram:@yuiriknit_


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今回はこれくらいで。

できなかったことができるようになる、新しい表現を知る・生み出す…学生たちのそんな毎日に触れていると、毎年のように繰り返されることであろうとうれしくてたまらないものです。

 

次回以降も、引き続きニットデザイン科の授業や学生の日常などをレポートしたいと思います。読者の皆様とニットの楽しさが共有できますように。ご自身の学生時代と比べて、変わったこと、変わらないことを楽しめるように。


そしてニットデザイン科の学生たちの成長を、そんなことを我が事のように共感し一喜一憂してもらえるよう。

  

文化服装学院

https://www.bunka-fc.ac.jp

 

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Instagram @bunka_fc

御田昭子
ライタープロフィール / 御田昭子
文化服装学院 ニットデザイン科専任講師。文化服装学院ファッション工科専門課程ニットデザイン科。編物科・ニッティング科・産業ニットデザイン科と時代とともに名称を変え、ニット業界を支える人材を長年輩出しています。そのニットデザイン科学生達の奮闘を講師目線でお届けします。
https://www.bunka-fc.ac.jp
御田昭子
ライタープロフィール / 御田昭子
文化服装学院 ニットデザイン科専任講師。文化服装学院ファッション工科専門課程ニットデザイン科。編物科・ニッティング科・産業ニットデザイン科と時代とともに名称を変え、ニット業界を支える人材を長年輩出しています。そのニットデザイン科学生達の奮闘を講師目線でお届けします。
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