毛糸だま 2011年春 153号より
糸を撚ったり編んだりして透かし模様を作るレースは、世界各地で色々な技法や模様が考えられ発達してきました。多くの技法の中から、今回は結びのレースと呼ばれるマクラメをご紹介します。
マクラメは道具を使って編むのではなく糸を指で結んで模様を作りますが、レースの技法の一種と言われています。その歴史は古く、原始時代には植物繊維で織物らしいものが作られ、その糸端の始末の方法として考えられました。6~7世紀には「ミイラクロス」と呼ばれるミイラを包む布が作られ、後に発掘されています。
マクラメと呼ばれるようになったのは17世紀で、当時優れた文化を持っていたアラビア(アラビア大陸の西南アラビア半島一帯)で盛んに製作されました。ラクダの鞍布とその房飾り、また麻袋の口をしばる紐と飾りフリンジなどが金糸、銀糸や宝石等を使って作られたそうです。
日本でもマクラメの歴史は古く、正倉院御物や鎧、兜などに色々な技法が見られます。身近なものでは、縄のれんやミサンガにもマクラメの技法が使われています。 アラビアで発展したマクラメは、その後ヨーロッパ各地に広がり、現在は日本のみならず、アメリカ、フランス、イギリス、中国、台湾、フィリピン、南米などでも多く作られています。