ニットと修理のエトセトラ

かわいい猫には爪がある。かわいい犬には牙がある

公開日 2022.10.04 更新日 2023.03.28
ライター=修理技術者メグヲ

コラム
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修理技術者メグヲ
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フィットニット・修理技術者のメグヲです。ニット修理を生業にしています。秋刀魚が美味しい季節になってきましたね。不漁らしく値段もお高く、いつ食べられるのかわかりませんが…。


修理の依頼の中では、やはりほつれに関するものが多いです。寒くなってから修理に出しても、仕上がりまでに時間がかかるため、お気に入りのニットほど早めにタンスから出して点検をしていただき、冬を迎えていただけたら嬉しいです。


「やらかしたー!」と、思った瞬間にはもう手遅れになりがちなほつれですが、中にはかわいがっているペットのおもちゃにされ、見るも無惨な仕上がりになってしまったニットも修理品としてやってきます。爪をたてられ、噛みつかれ、引きずられたあげく時には振り回されたりしたニットは大抵大穴をあけてフィットニットにやってきます。


お腹に大きな丸穴が貫通してあいていたり、袖がもげかけているニットもありましたが、今回は『裾に噛みつかれて裂けてしまった』『袖に噛みつかれて穴をあけた』事例を紹介します。


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引き裂かれた裾部分。噛みつかれているので刃物で切ったように綺麗な裂け目ではありません。無理矢理引きちぎっているので周りにも糸切れがあります。きっと楽しく遊んでいたのでしょう。切れた部分から目落ちもしています。それでもこれはまだ軽症な方です。


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糸切れや裂け目の状態を注意深く確認し、できるだけ元通りにします。修理箇所の周辺にはペットの唾液が付着している場合もあり、その部分も取り除きます。


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こちらは丸くくり抜かれた部分の修理。脇近くに噛みつかれたため、通常の穴修理の方法の他にリブ(ゴム編み)をずらして付け直す方法でも可能です。よく見ると身頃部分にも穴があいています。この部分は生地ため、ニットの修理方法は使えません。脇を縫い込んで穴を処理します。


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脇を縫い込む処理もあるため、こちらはニット部分も一度外して付け直し穴を脇に移動させました。ずらした分足りなくなったリブ部分の差は全体に分散することで同じように付け直しています。ニットだからできる修理方法です。


ほつれてこないよう脇にロックミシンをかけていますが、元の状態のラインを崩さないように気をつけて修理しています。大穴があいていたとは誰にもわからないくらいに直せたと思いますが、いかがでしょう?


「家に帰るとペットに悪戯されないようニットを着ない」という方もいるようですが、寒い冬にニットは欠かせません。修理相談はいつでも受け付けていますので、怖がらずにニットを着てくださいね。


フィットニットは繁忙期に入りました。どうしても依頼・相談の数が増えてしまうため、通常よりお時間がかかることがありますので余裕を持って修理に出していただくことをおすすめします。良いニット製品ほど虫に食われやすいですしね。一着一着丁寧に修理していますので、ぜひご相談くださいね。



株式会社フィットニット

http://www.fit-knit.com

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修理技術者メグヲ
ライタープロフィール / 修理技術者メグヲ
㈱フィットニットの修理技術者。東京・高田馬場にあるフィットニットでは、卓越した技術を持つ修理技術者によるニットの修理・補修のほかリメイクなどを専門に受け付けている。元通りになるのは当たり前。着心地を損なうことなく修復することをポリシーとしている。
http://www.fit-knit.com
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