

夏休み明け、学院にもにぎやかな声が戻ってきました。最初の数日は皆話したいことがたくさんあり、手を動かしながらもいつもよりおしゃべりが多め。もちろんマスクなどで感染対策をしながら、後期も授業を進めていきます。
今回はコラボレーションについて、特にイギリスのノッティンガム・トレント大学(以下NTU)との共同研究「レベル・タータン・プロジェクト」について紹介します。
レベル・タータン・プロジェクト
本年度、同プロジェクトに参加しているのはNTU、東華大学(中国)、文化服装学院の3校。気候変動をテーマに作品やテキスタイルを制作し、定期的にNTUの教授や学生とプレゼンテーションとディスカッションを通して考察するものです。
昨年はスコットランドのグラスゴーで開催されたCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)において、学生のポートフォリオが展示・公開されるなど、活発な意見交換の場にもなっています。
ニットデザイン科は昨年度に続き2回目の参加になりますが、今年は3年生から2チームが参加。そのうちの1チームは、アップサイクルされた糸で制作したニット小物と、コンピュータニットでオリジナル柄を編み立て、ニットウェアを制作しました。7月20日には英語でのオンラインプレゼンテーションを行いました。
ちなみに素材は、毛糸のアップサイクルを手掛けるニットデザイン科卒業生ブランドukniti(Instagram:@ukniti )より提供を受けたもの。同プロジェクトの意義を素材にも求めたことで、気候変動という地球規模の問題にファッションがどのように向かいあっていけばいいのかを示唆するものとなりました。


学生作品紹介
編み地スワッチのみを制作して発表する学校もある中、文化服装学院では学生たちが作品制作にこだわりました。ポートフォリオに使用した茅ヶ崎の海での写真は、撮影やモデルメイクなどすべてを自分たちで行いました(意気込みがすごい!)。以下は同チームのテーマやコンセプト、作品写真です。
■テーマ
人が人を想う気持ちを大切に。
~毛糸の再生から、世界中のいろいろな個性を持つ人をたどる~


■コンセプト
得意不得意がある人間が、お互いを思い助け合うことの大切さ。
障がいや病気を患った方々など、多くの人に向けたデザインをニットで表現する。


■参加学生のコメント
「今回チームリーダーとして、それぞれのメンバーの個性に向き合いながらまとめていきました。レベル・タータン・プロジェクトへの参加を通してメンバーが自信を持ち、これからの作品作りなどさまざまなことに生かしてくれたらとても嬉しいです」
鈴木 優実 Instagram:@min_knittng
「友人たちと共に、いろいろな編み方を学びました。今回のコラボレーションでは破棄される予定の糸を利用しています。テーマに沿ったアイテムをそれぞれが制作し、世界観の構築まで学べました」
佐々木 優月
「現地の教授陣から、テーマである気候変動の講義を聞く機会があり、私たちが研究するテーマの大変参考になりました。今までとは異なるアプローチを知ることができ、とても刺激を受けました」
ゴ・アラム
「コラボレーションに参加したことは初めてで、たくさんのことを学びました。編み物以外のデザインにも挑戦し、自分のものづくりについて考えさせられました。このプロジェクトに参加できたこと、本当に感謝しています」
ラマワティ・ミッシェル・アウリア Instagram:@hanais.m


■指導教員のコメント
「卒業生からの素材提供を受けて4体の作品が制作できました。気候変動という難しいテーマでの作品制作でしたが、4人それぞれの得意分野を活かし、きれいな色味とかわいらしいディテールでまとめています。海外の大学で同じくニットを学ぶ学生と交流を持てたことも、学生たちにとって、さらに学びを深めようと思わせてくれたきっかけとなったようです」
ニットデザイン科・教員 前田亜希子
新宿御苑にて。集まって編むのは楽しい!そんな気分が伝わります
チームで考えて動き、役割分担しながら作業を進めていくことは社会に出る前の学生にとってとても貴重な経験です。新宿御苑で楽しそうに編んでいる学生を見ていると、学びだけではない、人との出会いやつながりなどを育む学校の役割を改めて感じさせられます。
11月3日〜5日には、文化服装学院の一大イベントである文化祭があります。科の枠を超えて、学生同士の絆が深まる機会となりますように!
文化服装学院
Youyube文化服装学院公式チャンネル
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Instagram @bunka_fc
文化服装学院 ニットデザイン科専任教授。文化服装学院ファッション工科専門課程ニットデザイン科。編物科・ニッティング科・産業ニットデザイン科と時代とともに名称を変え、ニット業界を支える人材を長年輩出しています。そのニットデザイン科学生達の奮闘を講師目線でお届けします。
https://www.bunka-fc.ac.jp



