『九重編造花法 松の巻』寺西緑子著より(明治40年)
近代日本の手芸を研究している北川ケイと申します。
ここでは明治期、ハイカラさんの間で流行した編造花を再現するとともに作り方のポイントを紹介していきます。
今回は私の所蔵する明治40年発行、寺西緑子著『九重編造花法 松の巻』に掲載されている松竹梅(ショウチクバイ)のうち、松と竹をご紹介します(梅は次回です)。
彩レース資料室がある湯河原のお隣には真鶴半島があります。細長い鶴の首のような半島が好きで時々出かけます。半島の先端にある神奈川県真鶴自然公園は神奈川県真鶴自然公園は、甘く爽やかなアカマツの香りに包まれており、深呼吸すると身も心もリフレッシュします。
中国では、松葉茶は仙人の長寿秘薬とされているそうですね。日本では、松葉の細さで包めるほどの物という意味から、贈り物に「松の葉」と一筆添えると「寸志」の意味とされてきました。お洒落ですよね。
さらに湯河原の裏山には竹林がたくさんあります。湯河原温泉は万葉集にとてもゆかりが深く、 約1300年前に書かれた万葉集の中には「竹」を題材にした歌が多く見られます。それに因んで竹灯篭による灯りの祭典なども秋に開催されています。竹灯籠計約1000本が、静岡との県境を流れる千歳川沿いを幻想的に彩る素敵なイベントなのです。
みなさんもぜひ湯河原に遊びに来てくださいね。
松
【材料と道具】
極天糸または絹穴糸代用(松葉色/茶)、針金#26または#28、膠、大和のり、フラワーチューブ
【編み方】
葉:針金に松葉色の極天糸にて六分(2cm)より下から巻く◇およそ80本◇これを2本組にする◇茶色の極天糸にてその下方を巻きつける。
仕上げ:膠で固めた松葉の上2センチの針金部分を切り落とす◇初めに7組の松葉を一まとめにして、巻糸で巻き降りる。順次残りの松葉を添えて終わりを3センチほど巻き降りる。
【ポイント】
巻糸は、クルクルと針金を、紙縒り(こより)を作るように回しながら巻く。
竹
【材料と道具】
白絹レース糸、レース針4~6号、針金#28、水彩絵の具、膠、大和のり、絹穴糸、フラワーチューブ、ペップ
【編み方】
葉A(2枚):作り目の鎖20目◇帽子編(細編み)1目編む◇長編みを編む◇最後の目に帽子編◇鎖4目編む◇逆目(裏目を取る)にして帽子編◇片側最初の目に帽子編◇針金を抱き込み長編み◇最後の目は帽子編と捨目(引き抜き編み)で止める。
葉B(1枚):作り目の鎖23目で葉1と同様に編む。
仕上げ:水彩絵の具で染色、膠で仕上げ◇巻糸を巻いて組み立てる◇チューブに針金全てを通して結ぶ。