

昨年に引き続き、今年もニットデザイン科2年生全員で「としま編んでつなぐまちアート」に参加しています。
これは一人一人が編んだモチーフをつなげて、豊島区・池袋を街ごと編みくるむというアートプロジェクト。池袋=ふくろうという、街のシンボルから発展させた「編みふくろうの森」をテーマに、池袋の公園をメインに街や木々を編みくるんでしまいます。カラフルな編み物で街の風景を一変させる、いわゆる「ヤーンボミング」に取り組んでいるのですが、ニットはファッションに留まらず、アートとしても可能性を秘めていることに改めて気づかされます。
しかも「としま編んでつなぐまちアート」は肌寒くなってくる時期の街歩きを楽しくしてくれる、これからの季節にピッタリのイベント。いま、この連載を読んでくださっている皆さんのなかにも、昨年参加した方がいらっしゃるかもしれませんね。
ちなみにこのプロジェクトの総合監修をされている編み師 203gowさんの特別講義も来年以降予定しています。
としま編んでつなぐまちアート2022
https://sunshinecity.jp/event/entry-22354.html
夏休みの課題に
今年の参加のために夏休み前から準備をはじめ、編み地の制作を夏休みの課題の一つにも設定しました。
みなさんもご存知のように、かぎ針編みは場所を選ばずに編める技法です。この夏、外出や渡航制限が緩和され久しぶりに帰国した留学生や、北海道から九州まで全国に帰省する学生にとって、持ち運びがしやすいかぎ針編みの課題は最適です。
クラスのルールは、昨年バージョンの編み図と今年バージョンの編み図を必ず入れること。夏休み明けには、モチーフだけではなく機械編みやコンピュータニットの編み地を組み合わせるなど創意工夫を凝らした、文化の学生ならではの面白い編み地が出揃いました。
まとめの作業に時間がかかります…
なんと、夏休み中に大量のモチーフを編んでくれた学生がいたので、今回は公園の木々だけではなく、リパロ(あずまや)の編み地にもチャレンジできることになりました!リパロの屋根の角にモニュメントを作ることを決め、さっそく作業開始。他の課題との兼ね合いで短期間(実働約10日間)での完成を目指すことに。学校で作業できる時間は限られているので、みんな本当に大変だったと思います。


担当学生インタビュー
■丹野 有美さん
―――夏休みにたくさん編み地を編んできてくれましたが、そのきっかけは?
基礎科の時にこのプロジェクトのことを知り参加したかったのですが、学業が忙しく断念しました。そのリベンジが出来ると思うと気合が入り、結果的に枚数が増えていました。(ちなみにその数180枚以上。クラス全員の驚きっぷりといったら!)
―――クラス全員で一緒に編むことについて、どうでしたか?
これまでなかなか話すことのなかった人とも話すことができ、うれしかったです。それぞれの色使いや表現のアイデアがおもしろくて、とても勉強になりました。
―――オブジェなどのデザインコンセプトは?
おとぎ話やメルヘンな世界をイメージしています。毛糸は明るい色を使用し、作る動物を決めてからグループ全員で作りました。授業の合間を縫っての急ピッチな制作でしたが、すごく素敵に作ることができたと思います!ふくろうだけでなく、リスやうさぎなどもかわいくできました!
コンピュータニットの編み地デザインは丹野さんのデザインを採用。さりげなくKnitと入っています
教室でできるのはここまで!
公園の木々はいろいろな高さや枝ぶりがあります。こちらのつなげた編み地はそうした木々をくるむ編み地で、教員がグループ分けした3人1組での制作。


最初は持ち寄ったセンスの異なる編み地をどうやってまとめていくかに苦心していましたが、普段あまり話さないクラスメイトと話し合いを重ねながら作業することで、一人では思いつかないまとめ方やアレンジの発見があった模様。コロナ前であれば当たり前だった、たわいもない会話をしながら編む楽しさを、学生たちは感じてくれたようです。早く編む(時には必要!)だけではなく、愛着を持ちながら丁寧に編むことで心が豊かになってほしいなと思います。
12月、公園にモチーフが飾られた時にはクラスのみんなで見学に出かける予定。みなさんも暖かなニットで包まれた池袋の公園を見に来てくださいね!




としま編んでつなぐまちアート
https://sunshinecity.jp/event/entry-22354.html
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文化服装学院
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文化服装学院 ニットデザイン科専任教授。文化服装学院ファッション工科専門課程ニットデザイン科。編物科・ニッティング科・産業ニットデザイン科と時代とともに名称を変え、ニット業界を支える人材を長年輩出しています。そのニットデザイン科学生達の奮闘を講師目線でお届けします。
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