学生達は夢を編む

卒業制作だけじゃない! 有志7人、展示会「cue」

公開日 2023.03.03 更新日 2023.12.19
ライター=御田昭子

学び
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御田昭子
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2月から3月にかけて、文化服装学院ではそれぞれの課程・科が修了・卒業制作ショーや展示を行います。卒業制作作品に複数取り組む学生も多く、提出期限前の教室が普段にも増して活気に溢れる季節。


BUNKAのファッションショーは企画やモデルはもちろん、演出、音効、照明、映像などのショーを支えるパートも学生達が担うところが特徴で、ニットデザイン科3年生も総出となり、卒業制作ショーを無事に終えることができました。

画像1学生が撮影した卒業制作の写真


久しぶりの有観客での卒業制作ショーは見られているという緊張感はありつつも、3年間の学びの成果である作品を、画面越しではなく直接見てもらえるいい機会となりました。詳しくは文化服装学院公式Instagram(@bunka_fc)でアーカイブ公開していますので、ぜひご覧ください。

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さて、そんな多忙な制作期間の合間を縫って、ニットデザイン科3年生の有志7名が独自の展示会を企画しました。聞けば、昨年から空き時間を利用して準備を進めてきたそう。今回はこの展示会の準備風景や学生インタビューをお伝えします。

 

メインのオブジェはなんと地球儀!展示会について

 

きっかけは、橋本菫さんとチョ ウォンビンさんの会話だそう。最終的に7名が集まり、きっかけをつくった二人は企画担当、会場手配はその二人と平津楓さん、予算・素材管理と企業との連絡は熊崎竣祐さんと渡邉光咲さん、DM作成や配布などは谷川里帆さんと平津さん、全体のサポートをリョウ コウセツさんというふうに役割を分担。ちなみに、私から見てもそれぞれの持ち味がいきる適材適所だと思います。

 

ところで、展示会のメインビジュアルに鎮座する地球儀のオブジェが気になりませんか?制作の経緯をチョさんが答えてくれました。

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「せっかくだから個人の作品とは別に、友達と一緒に一つのカタチあるものを作りかったんです。できれば一人では大変な大きいものを…その象徴が地球です」

 

平津さんには、さらに展示会のコンセプトやメンバーについて聞きました。

 

「“SDGs”、“エコ”、“従来よりも製造時に出る排気ガスの量が何%減”という言葉を頻繁に見聞きするけれど、自分自身あまり実感が湧かないままに服を作りつづけていいのかとモヤモヤしていました。ニット製品はほどけば1本の糸に戻り、また編み直すことで違うモノに生まれ変わります。それこそSDGsですし、たくさんの人にそれを知ってもらいたくて企画しました。タイトルの『cue(キュー)』も同じです。きっかけや合図の意味から、『この展示が見る人にとって何かの気づきになれば』という願いを込めました。


展示会の運営に関しては素人です。DM作成や会場手配、その他諸々の連絡など、何からやればいいのか手探り状態だったので、はじめはとても大変でした。ただ、そうした試行錯誤はメンバー一人一人が自分自身に向き合う機会になりました。頭で理解はしているけれど、それを行動に移して形にするにはどうすればよいのか。分からないなりに“自分が信じること”に照らし合わせて動いてみたことは、とてもいい経験になったと感じています。

画像4ニットの地球儀の分担表を基に、各メンバーが思い思いの技法を駆使


7人が1点ずつ作品を展示する、小さな展示会ですが、ぜひ見に来てください!」

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友人と一つのものを作り上げるのは楽しい。


それがニットであればさらに面白い。


一人一人の手加減でどんな形にも変化し、オリジナリティあふれる編み地がコツコツと完成していくのですから。

 

目に見えて編み地が増えていく快感は、読者の皆さんもきっと共感してくれることと思います。

画像6それぞれが編んだパーツが集まりました!

 

今回は金泉ニットさんから素材提供をしていただき、制作しています。ニットデザイン科では今回に限らず、日頃からニット業界の皆さまが若い学生を応援してくださる機会に恵まれ、私たち教員も大変感謝しています。

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いまの3年生について

 

ニットデザイン科に入り、編み針を持つのも初めての学生もいました。何度もかぎ針の持ち方を練習したり、部分編みをやり直したり、私からの未提出課題の催促(!)もありましたが、卒業を目前にするとすべてが懐かしい日々ですね。

 

この春に卒業する学生たちはコロナ禍に入学し、オンライン授業も経験した学年でした。私たち講師もパンデミックを理由に学びを止めないよう、初めてのオンライン授業や動画作成にもチャレンジしながらも、手編みを教えることの距離を感じた時もあります。


それでも2年間、一緒に糸に触れたり編んだりしているうちに、私たちの間には強いつながりができたと思います。将来、文化服装学院での日々を振り返ったとき、共に苦労しながら編むこと、そして学ぶことをめなかった学生たちとして、思い出されるでしょう。

 

4月になれば、また新しい一年が始まります。気持ちも新たに、編むことが好きな学生を育てていかなくてはと思うのです。



ニット展示 cue 開催情報

【日時】

 2023年3月10日(金)~ 2023年3月15日(水)

12:00~19:00 ※最終日は17:00まで


【会場】

会場 Alt_Medium(オルトメディウム)

東京都新宿区下落合2-6-3 堀内会館1F

JR高田馬場駅徒歩7分(下落合二丁目歩道橋そば)

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【参加メンバー】

ニットデザイン科3年

熊﨑竣祐 Instagram:@kuma_.p

谷川里帆 Instagram:@pucxq

チョ ウォンビン Instagram:@cho0nebin

橋本菫 Instagram:@ _hashimotosumire_

平津楓 Instagram:@hiratsukaede

リョウ コウセツ Instagram:@lhhhhhx

渡邉光咲 Instagram:@misalignment__

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文化服装学院

https://www.bunka-fc.ac.jp

Youyube文化服装学院公式チャンネル

https://www.youtube.com/user/bfcstaff

Instagram:@bunka_fc

御田昭子
ライタープロフィール / 御田昭子
文化服装学院 ニットデザイン科専任講師。文化服装学院ファッション工科専門課程ニットデザイン科。編物科・ニッティング科・産業ニットデザイン科と時代とともに名称を変え、ニット業界を支える人材を長年輩出しています。そのニットデザイン科学生達の奮闘を講師目線でお届けします。
https://www.bunka-fc.ac.jp
御田昭子
ライタープロフィール / 御田昭子
文化服装学院 ニットデザイン科専任講師。文化服装学院ファッション工科専門課程ニットデザイン科。編物科・ニッティング科・産業ニットデザイン科と時代とともに名称を変え、ニット業界を支える人材を長年輩出しています。そのニットデザイン科学生達の奮闘を講師目線でお届けします。
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