

フィットニット・修理技術者のメグヲです。ニット修理を生業にしています。
今回は「はぎ」について。
「はぎ」とは…
ニットの目と目をつなぎ合わせることを「はぎ」と言います。丈詰めや丈出しの修理で必須となる技術です。ニット修理の基本中の基本であり、習得できなければ「ほつれ」の修理もできないためとても重要です。
はぎの技術を使う代表的な修理は丈詰めであり、私達にとって修理の初めの一歩になります。丈詰めがどんな修理なのかを文字で説明すると「お客様の好みに合わせてカットする」だけではあるのですが…。
「はぎ」の難しさ
はぎ作業の前に必ず行うのがほどき作業。ほどき作業は、はぎ修理の正念場ともいえます。なぜならハサミを入れてしまえばそれはもう元の商品ではなく、切った糸は二度と元に戻らないからです。特に新作、初めて見る模様編みの場合はプレッシャーがズシリと重くのしかかってきます。
ほどいたあとは何としてでもはぎ合わせないといけません。今更「修理できませんでした」とは言えませんし、何事があろうとも対応できる心構えがないといけません。
実のところ、ハサミを入れる前にその「何事」をある程度予見しておくことも必要です。そんなことは膨大な量の経験を積まないと難しいのですが、それが必要になる。ニット修理の基本は「はぎ」である、とは言いましたが、それがいかに難しいことであるかが伝わると嬉しいです。
ただ「はいでつなげばいい」わけではない
下の2枚の写真はどちらもメリヤスはぎの写真ですが、よく見ていただくと分かる通り、メリヤスはぎ①、②では目の細かさが異なります。


はぎの修理は、ただ「はいでつなげばいい」というわけではなく、ハサミを入れたことが分からないくらい、修理前と後の違いが分からないくらいに仕上げることが最終的な目標となります。
私たちが修理を行うニットは、メリヤスはぎ①、②の写真のように目の大きさや向きがそれぞれ異なります。そんな中で、はぎ目の大きさや向きをいかに揃えられるかが、私たち修理技術者の腕の見せ所になります。
アミドメ(一部のリブ製品に使用する先端部分で目を止める方法)
はぎとは「基本の修理」であると同時に「奥が深く、終わりのない修行のようなもの」です。経験と共に培ってきた技術力をみなさんのニットを直す際に発揮できるよう、今日も明日もニットを直していく所存です。フィットニットではお客様のニットを一着一着丁寧に修理しています。ニットで困った事がありましたら、お気軽にお問い合わせくださいね。
株式会社フィットニット
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㈱フィットニットの修理技術者。東京・高田馬場にあるフィットニットでは、卓越した技術を持つ修理技術者によるニットの修理・補修のほかリメイクなどを専門に受け付けている。元通りになるのは当たり前。着心地を損なうことなく修復することをポリシーとしている。
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