ジェンネの門
橋のない川を、車を押して渡るなどし、街の門をくぐったのは夕闇迫る篝火のなか。
高々と燃える炎に濃く長い影を引いて、貫頭衣の人々が土造の街路をゆったりと行き交っている。
井上輝美
原野よりも静かな清とした音が街を満たし、古のカンカン・ムーサの時代を訪れたかのようだ。
夜空に接する土の家のアウトラインには、さりげない意匠がほどこされており、アラビアン・ナイトの挿し絵のようだと旅の感興に浸っていると、15〜16歳程の少年が二人話しかけてきた。
一人は細面蓬髪のアラビア系、もう一人のおっとりと大人しい方は、大きな瞳のブラック・アフリカンである。赤い毛糸の正ちゃん帽がよく似合う。
ライタープロフィール / 井上輝美
手芸、お料理本のスタイリスト。『毛糸だま』誌も担当中。趣味は、旅、音楽、手仕事。
ライタープロフィール / 井上輝美
手芸、お料理本のスタイリスト。『毛糸だま』誌も担当中。趣味は、旅、音楽、手仕事。
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