
フィットニット・修理技術者のメグヲです。ニット修理を生業にしています。気がつけばこのコラムを担当して1年が経とうとしています。
月1ペースで続けておりますが、ここまで途切れることなく続けてこられたのは、読んでくださる皆さまのおかげです。ありがとうございます。
昨今「ぬい」が流行っていますが、amimono愛読者の皆さまはあみぐるみを作ったことはありますか?
毛糸の風合いを活かしたあみぐるみ、もし壊れてしまったら?大切なあみぐるみなら、なんとかしてあげたいと思うのではないでしょうか。
今回は、怪我をして(穴があいて)緊急来店したクマさんのお話です。
怪我をしたクマさん
このクマさんは眉間に怪我をしています。
目の刺繍にかぶる、なんとも嫌なところに穴があいていますね。クマさんも泣いているように見えます。目の刺繍を解くわけにはいかないので非常に厄介ですが、持ち主のためにもしっかりお直ししましょう。
完治!
眉間の穴を素材感が似ている糸で治療したので、傷跡も目立たず元通りの綺麗なお顔に。なんだかクマさんも嬉しそう?
技術をフル活用
さて今回のお直しですが、ニット修理で培ってきた技術をフルに使っています。せっかくなので、お直しで使った技術を簡単にご説明してみようと思います。
まずは穴よりも一回り大きい端切れを用意します(修理の過程がわかりやすいように目立つ端切れを使用)。これを使って左右にはぎを繰り返し、穴を塞ぎます。
縦軸横軸を揃えていくことが重要なのですが、実際に作業をすると今どこを直しているのか迷子になりやすく、簡単にできる修理方法ではありません。修理人としての経験と感覚がものをいいます。
仕上がりました。
また、別布をはめ込む復元方法もあります。似た色・素材・目の大きさの別布を文字通りはめ込みます。
この方法で修理を行うと、こんな感じに仕上がります。
いかがでしたか?あみぐるみも直してしまう、「ニット専門修理屋」としての技術力を感じていただけたら嬉しいです。
実はクマさん以外にも、フィットニットだからこそ直せた修理事例があるんです。
そちらのご紹介はまた今度。お楽しみに。
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ライタープロフィール / 修理技術者メグヲ
㈱フィットニットの修理技術者。東京・高田馬場にあるフィットニットでは、卓越した技術を持つ修理技術者によるニットの修理・補修のほかリメイクなどを専門に受け付けている。元通りになるのは当たり前。着心地を損なうことなく修復することをポリシーとしている。
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