羊毛倉庫の「作りたい」という気持ち

時間の中で

公開日 2023.11.30 ライター=羊毛倉庫

コラム
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羊毛倉庫
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[毛糸だま 2011年秋号掲載]


3月の大地震のとき、私はヴォーグ学園での講座中でした。


避難時に「コートと貴重品を持って!」と言う私の言葉そのままに、生徒さんはみな作りかけの人形も道具も机に残していきました。


その瞬間から今もずっと、許しがたい日常は続いていますし、自分の「やるべきこと」を、だれもが模索していることだと思います。


私も毎日、その問いかけを続けます。


まずは、子どもを守ること。


次に、どんな時でも私の人形を必要としてくれる方のために、作品を作り続けること。


人形作りを必要としてくれる生徒さんに、楽しい時間を過ごしてもらうこと。


そして、小さくてもいから、被災地の支援を続けていくことです。


震災前と仕事も内容も、一見変化はありません。ですが、終わりの見えない非日常という時間の中で、「作りたい気持ち」の軸は1本の自分ではなく、幾本もの他者へとなりました。


今日も明日も、ニードルを持って作り続けます。3・11に心を置き去りにしないように。


画像1

果物はほぼ本物と同じサイズ。40粒の葡萄だけで制作に丸二日を要しました。美味しそうに見えるかな?




羊毛倉庫
ライタープロフィール / 羊毛倉庫
鈴木千晶の人形作家名。東京校を中心に、横浜校、名古屋校、心斎橋校、さらには天神校でも講座を持つヴォーグ学園の人気講師。
https://twitter.com/evicall
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鈴木千晶の人形作家名。東京校を中心に、横浜校、名古屋校、心斎橋校、さらには天神校でも講座を持つヴォーグ学園の人気講師。
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