[毛糸だま 2012年冬号掲載]
「着物が着たい」—7年前にふと思い立ち、着付けの本を買いに走りました。
骨董市で安く着物を揃え、とにかく週に3回は帯を締めて1日を過ごしたのです。買い物も料理も、昼寝(笑)も着物。古い着物だと気兼ねが無いので、子供と公園にも行きました。
着付けは訓練のように手早く済ませること。紋様と意味を憶え、組み合わせを知り、時節を考えて選ぶこと、等々。
ですが所詮は独学の弱り目、他人の目には厳しく映るようです。出先ではザッと上から下まで値踏みされ、時には「こっちに来なさい」と隅に呼ばれて帯をほどかれたこともありました。
結局、着物生活は2年ほどでパタリと終息し、今年ついに和箪笥は人形用の素材棚へと変わってしまいました。あちこちで私の着物を直してくれた方々は、とてもありがたかったんですけども…。着物ライフを日常に変換するのは、とても難しかったのでした。
盆と正月がいっぺんに…なんて言いますが、今回はクリスマスとお正月がいっぺんに来たような楽しさを出しました。