[毛糸だま 2013年秋号掲載]
夜、子どもを寝かしつける時に、私はよく話を聞かせました。
即興で作る話は、とても他愛のないもの。幾何学模様の中を散歩する話や、おもちゃを持って行ってしまうこびとの話。
今年中学生になる息子には「今夜を最後の夜にしようね」と、こんなお話をしました。
青いずきんをかぶった女の子。彼女の名前は“あーずきんちゃん”。
現代っ子のあーずきんちゃんは、お使いに出たあとすぐに、同じクラスの男の子とゲームセンターで遊んでしまいます。たっぷり寄り道した後、知り合いの花屋でゆっくり花を選び、おばあちゃんの家に向かうのですが…。
結末は内緒です。 この人形を作っていると、息子が「これ、あーずきんちゃんなの?」と驚いていました。
「この子、今までの人形とぜんぜん違うね。すごくかわいいね」と。
青いフードマントは着脱可能。人形は羊毛ですが、たまには根気よく縫い物もします