羊毛倉庫の「作りたい」という気持ち

生きもの係

公開日 2024.07.06 ライター=羊毛倉庫

コラム
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羊毛倉庫
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[毛糸だま 2016年冬号掲載]


ふた昔ほど前、ペットショップで働いたことがありました。


生来犬や猫が大好きなうえに、田舎育ちで虫も平気。勤めのおかげで変温動物も扱えるようになって、もう無敵!


抱いて撫でるようなペットと違い、ヘビやトカゲは住環境の世話をして観察するだけ。そのうち触っても怒らなくなるかもね、という程度。魚に至ってはもはや絵画を育てるような世界でした。


生き物は隔てなくそれぞれの力と美しさがあって可愛いけれど、目一杯広げた両腕でかき集めるように世話をする命は、どうしてもこぼれ落ちてしまいます。それはまるで無知な鎖のようでした。


自分の家族ができてから、私は『生きもの係』に再び任命されます。


まずは子ども。この育ち盛りのホモ・サピエンスは、私に次々と飼育生物を連れ帰ってきました。幼虫、バッタ、カマキリ、カブト、クワガタ、大量のザリガニ。そしてドジョウに金魚にカニ、仕上げは甲羅の欠けたカメ。


小さな腕でも責任を持てば、命の鎖は縁の交わりに変化するかもしれません。


「社会人になったら、あなたが飼いなさいよ」と何度も息子に言いながら、私は八年目のカメの顔を眺めています。


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豚の3兄弟は頑丈なレンガのお家でクリスマスを過ごします。来年は無事な一年になりますように。

羊毛倉庫
ライタープロフィール / 羊毛倉庫
鈴木千晶の人形作家名。東京校を中心に、横浜校、名古屋校、心斎橋校、さらには天神校でも講座を持つヴォーグ学園の人気講師。
https://twitter.com/evicall
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