

今回のゲストはiPhoneアプリ「編み物カウンター」の開発者、藤田佑輝さん。藤田さんと編み物の出合いは、ちょっと意外なところにありました。
「読書が趣味なので、通勤電車で読むためにブックカバーを集めていたんです。8年前にたまたまネットで見かけたのが編み物のブックカバーで、母に聞いてみたら、細編みだろうと。自分でもできるかなと思って、入門書を買ってみたのが最初です」
その後、誰かに習うことなく、編み図やプロセス解説を見ながら、独学で編んできたというからスゴイ。


「編み図を見るのは、あまり苦にならないかもしれません。ただ、ラベリーで初めて海外の文章パターンを見た時、編み図の時は自分で想像しながら編んでいた手順もすべて具体的に書いてあって、論理的でわかりやすいなと思ったんです」それが「編み物カウンター」の開発につながったといいます。
「それまでは編み図をコピーして、どこまで編んだかチェックしていたんですよ。それだとコピーが何枚も必要になるし、スマホ画面でできたら楽だなと思ったんです。最初は自分で使うために作ったので、公開するつもりもなかったぐらいで。
作ったのは編んだ箇所をチェックできる機能と何段に1回何をするという指示が出てくる機能。例えば、アラン模様だと、最初はずっと表編みですが、途中から8段に1回交差したりする。なので15段めになると『次は交差2回め』と指示が出てきます」


まさにカーナビのよう。次にやることがシンプルに出てくるので、とてもわかりやすい。他にも構想中の編み物アプリを聞いてみると、
「セーターの模様を写真で撮ったら、編み図が出てくるアプリができないかなと思ったんです。結局、記憶させるデータが膨大すぎて、構想段階でやめたのですが。機械学習やAIはどんな仕組で記憶して答えを出すのか、その仕組みを調べていったら、微分積分が必要だったんです」
本棚に並んでいた微分積分の本は、そのためのもの。「高校でもっと勉強しておけばよかった」と笑いますが、編み物だけでなく、微積も独学というからビックリ。好きなことをきっちり追求するタイプのようです。


「小学生の時に母が百円のビデオで『スターウォーズ』を買ってきてくれて、それにハマってしまって。スターウォーズは小説も莫大な数が出ているのですが、大学生までの間に多分すべて読んだと思います(笑)」
その姿勢が藤田さんの核のよう。
「もともとIT系のエンジニアだったのですが、編み物を始めた後に、たまたまiPhoneアプリを自分で作れることを同僚から聞いて。それで『編み物カウンター』を作ったことが今のiOSのエンジニアの仕事につながっているんです。それは自分でも予想しなかったので面白いなと思います」


好きなことをピュアに追っていったら、思わぬところで仕事が拓けていったそう。編むのは幼い息子さんのセーターや玄関マットなど、ご家族のものばかり。好きの先に温かな日常が広がっている藤田さんなのでした。
藤田佑輝:ふじたゆうき
神奈川県在住。iOSアプリエンジニア。編み物歴8年。同時期にiOSアプリの開発を独学。編み物に特化した「編み物カウンター」アプリを開発。最近の悩みは、息子がいつまで手編みのセーターを着てくれるのかということ。アプリやITで編み物界のエコシステムを作るのが密かな夢。好きな食べ物は唐揚げ。
twitter:wai @swwaisw
ライター。『日本映画ナビ』『ステージナビ』をはじめ、新聞・雑誌・ウェブサイト・劇場パンフレットなどで、映画・演劇に関するエッセイやインタビューを執筆。ミサワホームのウェブサイトにて「映画の中の家」、高校生に向けたサイトMammo tvにて「映画のある生活」の他数誌にて映画コラム連載中。




