フィットニット・修理技術者のメグヲです。ニット修理を生業にしています。
修理を希望するお客様には「予算」という悩みがあるかと思います。ニット修理をする際、
・お客様の予算
・修理にかかる修理代
この2点が釣り合っていれば、お客様も納得の上、こちらもスムーズに修理が進められます。しかし、「お勧めの修理だと予算を超えてしまう」ような事態が起きた時は、そうもいかず、どうやって釣り合いのとれた修理を進めるか考えなければいけません。
例えば、このような穴を直したいとします。
ボーダーの穴です。
この場合、以下の3パターンの修理方法があります。おすすめ順に紹介します。
①段作成
切れた段分復元をし、できる限り元と同じ状態にしていきます。この場合、同じか似た糸を必要とするため必ず提案できる修理とは限りません。しかし、一番技術力が必要で仕上がりが綺麗な修理となります。裏の糸始末は接着芯、もしくは接着芯テープでまとめて処理をします。
②段消し
通常の穴修理と同じ方法です。穴の大きさによりますが、ボーダーが細くなるか最悪なくなってしまう事もあります。糸始末はボーダーの幅に合わせてジグザグに始末します。
③つまみ
ボーダーの幅を変えないよう糸で掴んで穴を塞ぎます。摘んでいるのでどうしても跡が残るのと、裏側も少し縫い代のようなものができてしまいます。文字通り、指で摘んだような修理になります。
この中から好きな修理方法を選んでくださいと言われたら、どれを選ぶでしょうか?おそらく大体の方が①を選ぶのではないかと思います。
しかし、①の方法は一番修理代がかかってしまいます。具体的な金額は明示できませんが、上の3パターンですと③つまみ②段消し①段作成の順に、倍々に値段が高くなっていきます。それを踏まえた上でもう一度どの修理方法を選ぶか考えてみてください。直したいニットの元の価格や、着ていく場所等…色々頭に浮かんでくるのではないでしょうか?
修理をする立場からするとお客様からの「綺麗に直ってる」「全然わからない」という言葉がとても嬉しいので、その言葉がもらえるような修理を目指しています。しかし、そのせいでお客様に無理な負担をして欲しくはありません。最終的な修理内容の決定権はお客様にあります。
お客様とのコミュニケーションを大切に、納得のいくお値段・修理の提案をできるよう今日もニット修理に取り組んでいます。
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