メルセデスⅠ
幸福を与えられたという意味らしい、メルセデスという名前の元気な女性が数日遅れでホテル・アナイにやって来た。
パナマ・シテイに暮らすアメリカ人の彼女は、同行の女友達と島で新年を迎えようというプランらしいが、数日を過ごすための荷物が凄い。
数本の酸素ボンベ、ダイビング・スーツ、釣り道具、大きな凧、巨大なクーラーボックス、後でわかったシャンパンにシャンパン・グラス、電動歯ブラシに至るまで、空輸してでも豊かに過ごそうというタフな気概がお見事だ。
シャワーは雨水、トイレの下は海という、バンガロー・スタイルの簡素なホテルだけれど、宿代にはボート代も含まれていて、目的に合わせて孤島にお弁当付きで連れて行ってくれる。
一人旅のわたくしは、メルセデスたちと同じボートで連日無人島巡りを満喫することとなった。
凧揚げのできる広いビーチのある島や、メルセデスに手を引かれて初体験だったシュノーケリングは、青い海の下、海底を航海しているように見える、沈没船のスタックしている場所だった。
白いサラサラの砂に少し傾いて横たわる船は、小魚の館。色んな色の魚の群れが交差して行き交かっており、まるでデイズニーのアニメを見るようだ。 魚たちはあまり逃げようともしない。
また、30cmの海面下にある白砂の小島に上陸?した時は、50cmもある巨大スター・フィッシュ(ヒトデ) が、波の縞模様を身に纏い、お洒落に泳いでやってきた。
ウエルカムのご挨拶と、ウキウキとした好奇心のみなぎる雰囲気で。
※2024現在では、環境保善のため、シュノーケリング以外の潜水機器などの持ち込みは禁じられています。