サンブラス諸島の水事情
ウイチュブワラ島に暮らす人々の為に、島の中央辺りに極小ながら立派に機能している雨水の貯水池があった。
砂地に人一人入れるほどの横穴が掘られており、バケツ一杯くらいの水が貯まっている。
汲み上げてまた少し掘ると、水が滲むように湧いてくる。珊瑚を砕いたような軽やかな砂地で、濁ることのない天然の綺麗な貯水槽だった。
サンブラス諸島の他の島々も同じ方式だということだけれど、歩いて一周10分とかからない、海抜1メートルしかない砂の小島に雨水井戸が在ろうとは!
人と自然はさりげなくも頼もしい
秘境の旅ツアーのメンバー話によると、ハワイ諸島も同じ方式だったそうで、島暮しではよくある事なのかもしれない。
また、訪れる観光客の為に、ホテル・アナイには空輸で届く飲料水の他に、雨水を貯めておく濾過装置付きの貯水槽があった。
歯磨き用などの真水は部屋ごとに、バケツに入れて毎朝ドアの前に置かれている。
部屋の水道やシャワーは塩水のままで、シャワー・ルームの足元の排水口からは何と、アクアマリンの美しい透明な海が見えていた!
シャワーと同じように、トイレの下も海、なのだけれど、その界隈を避けて人々は海を利用しているのだった。もとより綺麗な海である。
塩っぱいけれど、ベタつかない事を不思議に思っていたが、今になって検索してみると、「綺麗がゆえにプランクトンが少ないから」というのがその理由らしい。
そういえば、夜の水中花を観るように美しい、夜光虫の煌めくところを見た記憶が無く、日記にも不記載である。
ちょっと怖いけれど、もっと沖へとナイトクルーズを試すべきだったかもしれない。

ライタープロフィール / 井上輝美
手芸、お料理本のスタイリスト。『毛糸だま』誌も担当中。趣味は、旅、音楽、手仕事。

ライタープロフィール / 井上輝美
手芸、お料理本のスタイリスト。『毛糸だま』誌も担当中。趣味は、旅、音楽、手仕事。


