北尾惠以子の世界のレース

タティングレース 小さなシャトルで作るレース

公開日 2023.04.13 更新日 2023.08.10
ライター=北尾惠以子

コラム
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北尾惠以子
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毛糸だま 2013年秋号より


タティングレースは結びの手芸で、1本の糸を芯にして、シャトルに巻いた糸でこの芯糸に結び目を連続して作るレースです。初めはコードやしぼって輪にした結びリングを別々に作り、布に縫い付けて装飾として使っていました。


しぼった輪の形が目を思わせるので、イタリアでは目を意味する「Occhi」として知られています。また、フランス語からとった「Frivolite」(価値のない編み物)という言い方もありますが、それは表面的な装飾品にすぎないものということでしょう。

画像1清楚で優雅なレース


1850年イギリス人のリエゴ夫人が編みながら針を使ってリングとリングをピコットでつなぐ方法を考案しました。さらに1864年には2個のシャトルを使ったブリッジの作り方を発表し、デザインの多様性が急激に広まりました。


1つの結び目から生まれる清楚で優雅なレースは、エレガントな手芸と言われ、18~19世紀に女性貴族の間で大変もてはやされ、教養として習うものだったそうです。


日本には明治初めに他の西洋文化と共に伝わり、大正から昭和初期には穴糸でショール、袋物などがさかんに作られ、女学校の教材としても取り入れられて大流行しました。

画像2女学校の教材としても取り入れられた


シャトルという小さな一つの道具で作るタティングレースは、場所をとらず、何時でもどこでも手軽にでき、数少ない基本さえ覚えれば自由に変化のある図案を編み出せる「自由レース」と呼びたいものです。

画像3毛糸だま 2013年秋 159号掲載

北尾惠以子
ライタープロフィール / 北尾惠以子
惜しまれながら故人となったレース界の巨人。レース作家・講師として60年以上活動。 『芸術編みクンストレース』『華麗なクラシックバテンレース』『タティングレースのコサージュ&アクセサリー』『基礎からよくわかるカンタンヘアピンレース』等著書多数。レース研究会「針の会」創始者。
北尾惠以子
ライタープロフィール / 北尾惠以子
惜しまれながら故人となったレース界の巨人。レース作家・講師として60年以上活動。 『芸術編みクンストレース』『華麗なクラシックバテンレース』『タティングレースのコサージュ&アクセサリー』『基礎からよくわかるカンタンヘアピンレース』等著書多数。レース研究会「針の会」創始者。
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バテンレース 糸で空間をかがって仕上げるレース

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