

フィットニット・修理技術者のメグヲです。ニット修理を生業にしています。
2023年が始まり、早くも1ヶ月が経ちました。寒さとたたかう毎日ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
私自身の近況ですが、温度調節ネジの調子が悪いせいで、限りなく水に近いぬるま湯しか出ないお風呂をどうにかしないといけないと思いつつ、日々の修理作業に追われています。さて、2023年のトップバッターを飾るのは、以前ご紹介した修理事例のパート2となります。
覚えているだろうか…。かつて、ペットにけちょんけちょん にされてしまったニットたちがいたことを。
そのニット達を救うため、全力で修理作業に取り組んだ技術者たちがいたことを。
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かわいい猫には爪がある。かわいい犬には牙がある ー ニットと修理のエトセトラ
この記事のおかげでしょうか。同じようにペットのいたずらで傷ついたニット修理の依頼がたくさん舞い込みました。かわいいペットにやられたとあっては、ニットがだめになってしまった悲しみや怒りのやり場がないですよね…。そのやるせない気持ち、修理で癒せるかもしれません。
問題のニットがこちら。袖口部分が半分ちぎれています。
ちょっと分かりづらいので、間に紙を挟んでみると…。
ものの見事にちぎれています。シャワー中に何かを感じ取った飼い主さんが、慌てて部屋に戻ったところ、ペットのネコちゃんがカミカミしていたそうです。
慌てて取り上げた飼い主さん。まさに間一髪だったと思います。もう少し遅かったら、袖口部分のみならず袖身頃部分もカミカミしていたかもしれません。そうなってしまうと、せっかくの赤い模様が修理段階でなくなってしまう可能性もありました。なにせ、カミカミした部分は消失しているのですから…。ネコがニットをカミカミしてしまうのには諸説あるみたいですね。
さて、修理に話を戻すと、この袖口はもうどうにもできないので取り外します。決して弱い糸ではないのですが、ここまでにできる顎の強さよ…。
取り外した袖口は新しく用意した袖口と交換します。似ている糸を探し、同じように編んだ編み地を用意します。
袖口はリブですが、袖身頃は違います。ジャガードになっているため、はぎ方に工夫が必要になります。四苦八苦しながらもなんとかはいだものがこちら。
表をとって、裏をとって、目の数を合わせて…いろいろと頭の中で考えつつ、つなぎます。
無事はぎ終わり。
無事だった袖口と比較してみます。どっちが修理した方か分かりますか?
………(あれ、修理したのどっちの袖口だっけ?)。
これにて今回のニットは無事に修理完了となりました。まだまだ寒さは続きます。
お気に入りのニットを着て、たくさん冬の思い出をつくってほしいですね。ネコちゃんも、カミカミはほどほどに飼い主さんと素敵な時間を過ごしてくださいね。
フィットニットではお客様のニットを一着一着丁寧に修理しています。ぜひご相談くださいね。
株式会社フィットニット
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㈱フィットニットの修理技術者。東京・高田馬場にあるフィットニットでは、卓越した技術を持つ修理技術者によるニットの修理・補修のほかリメイクなどを専門に受け付けている。元通りになるのは当たり前。着心地を損なうことなく修復することをポリシーとしている。
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