学生達は夢を編む

視野を広げる、特別講義!【後編】

公開日 2023.04.27 更新日 2023.12.19
ライター=御田昭子

学び
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御田昭子
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文化服装学院では、学生たちにファッション業界で必要な技術と知識をしっかりと身に付けてもらうための充実したカリキュラムが組まれています。


通常授業のほかに、ファッション業界の第一線で活躍されている方々をお招きする特別講義も頻繁に開催しており、卒業生が講師となることも。


視野を広げる、特別講義!【後編】では、前編に引き続きニットデザイン科卒業生の方たちの特別講義の様子をご紹介します。


まだ前編を読まれていない方はこちらからどうぞ!

視野を広げる、特別講義!【前編】


ニットにまつわる業界動向を聞く ~丸安毛糸株式会社 松井裕作さん~

松井さんはニット素材から製品までを手掛ける丸安毛糸株式会社で糸の開発に携わり、現在ではゼネラルマネージャーを務める卒業生です。


ニットの素材をメインテーマに、現場やニット業界について詳しくお話を伺いました。同社は「60ろくまる」という手編みブランドも展開しています。読者のみなさんのなかにもご存じの方がいらっしゃるかもしれないですね。


「丸安毛糸株式会社としては、『MONTELUCE(モンテルーチェ)』という糸のブランドを通じて、世界中のニットデザイナーに私達のファンになっていただくことが目標です。クリエーションへの探求はもちろんですが、情報発信も含めて常に新しいこと、面白いことに挑戦しています。特別講義の講師としては、『この業界は今後どうなっていくのか?』『今働いていて活躍している人は何を考えているのか?』『自身の将来や業界への不安はないのか?』など、今の学生が知りたいことは何かを想像しながら話すようにしています。会社でも取り組んでいるように、どうすればニットの魅力をもっと多くの人に届けられるのかをイメージし、それをどのようにして実現するかを考え、組み立て、実行すること。ニットを通じたものづくりを担う人にとって、そうしたことを伝えられたらと思っています。」

画像1丸安毛糸株式会社・松井裕作さんの特別講義の様子

  

講義後の学生の反応はというと。


「丸安毛糸さんはクラスメートと就職について話す時に真っ先に上がる企業。国内外問わず有名なブランドと強いつながりを持ち、そうしたブランドを支えていることを知り、さらに魅力的な会社だと思いました。」


「同じ素材でも、加工法、撚り、混紡の組み合わせや割合を変えると、風合いや見た目が全然違うものになることを実感しました。また、企業は工夫や改良、そして創作のアイデアを探し続けることでより高い付加価値をつけ、新たな需要を掘り起こすことができるのだと思いました。 さらにその技術やアイデアを理解してもらうための努力の重要性も感じました。」

画像2「糸の段階でデザインできることが多くて、面白い!」という感想も


講義の途中でも、松井さんは私が着ていたニットカーディガンの素材を瞬時に解析し、学生に教えてくれました。ニット業界で長年培った経験の賜物でしょう。同時に課題やファッションショーなどで頑張っていた学生時代の松井さんを思い出し、当時、一生懸命に取り組んだ姿勢が今につながっているのだなと思わずにはいられませんでした。


社会に出る前に知っておくべきこと ~株式会社みんなのニット共和国 代表・デザイナー 伴 真太郎さん~

繊維商社、イタリア糸代理店でニットに関わるさまざまな経験を積んだ伴 真太郎さん。今年、「ファッションと福祉を繋ぎ、何度でもやり直せる社会をつくる」ことを掲げた株式会社みんなのニット共和国を設立し、アップサイクルニットの企画と社会貢献プログラムの設計を行っています。その経験を踏まえ、特別講義ではニット業界の仕組みや学生の就活に対する心構えなどを卒業生ならではの目線でお話いただいています。

画像3伴さんも卒業生です


学生の感想です。


「お話を聞いて、ブランドのコンセプトがすごく素敵だなと思いました。 使わなくなったニットをほどいてもっと素敵なものにするということはもちろん、ニットを活用した就労支援を通して障がいのある方の居場所をつくっているということに驚き、感動しました」


「これからの就職活動や進路決定に大切なことを多く学ぶことができました。伴さんの人生経験を伺い、自分もこれから頑張っていこうという思いを持ちました」

画像4ukniti


ご自身の経験から、毎年学生に温かい言葉、エールを送ってくれる伴さんの作品の一部をご紹介します。毛糸をほどき、再生した作品はオリジナリティにあふれていませんか?

画像5ukniti


株式会社みんなのニット共和国HP

ukniti Instagram:@ukniti

伴さんTwitter:@bababababanban


特別講義が縁で学生がインターンシップに参加したり、個人プロジェクトを手伝ったりといった、先輩と後輩のゆるいつながりがニットデザイン科にはあります。同窓生同士、展示会や取引先との商談などで再会することもあり、新たな仕事につながったという話もよく聞きます。「文化のニット科卒業!」というだけで気持ちが通じ合うのでしょう。そんな話を聞くと私たち教員はとてもうれしく、未来につながる人材の育成を頑張らなくては、と思うのです。


この4月には、ファッション工科基礎科※で布帛の服づくりの基礎を学び、2年次からのコースとしてニットデザイン科を希望した学生が進級してきました。毎年のことですが、新しい学生との出会いを一つ一つ大切にしていきたいです。


※ファッション工科基礎科は、1年次で服づくりの基礎を学び、2年進級時に「アパレルデザイン科」「アパレル技術科」「インダストリアルマーチャンダイジング科」「ニットデザイン科」を選択。それぞれの科で2年間の専門知識をつけ、3年間で卒業となります。


御田昭子
ライタープロフィール / 御田昭子
文化服装学院 ニットデザイン科専任講師。文化服装学院ファッション工科専門課程ニットデザイン科。編物科・ニッティング科・産業ニットデザイン科と時代とともに名称を変え、ニット業界を支える人材を長年輩出しています。そのニットデザイン科学生達の奮闘を講師目線でお届けします。
https://www.bunka-fc.ac.jp
御田昭子
ライタープロフィール / 御田昭子
文化服装学院 ニットデザイン科専任講師。文化服装学院ファッション工科専門課程ニットデザイン科。編物科・ニッティング科・産業ニットデザイン科と時代とともに名称を変え、ニット業界を支える人材を長年輩出しています。そのニットデザイン科学生達の奮闘を講師目線でお届けします。
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