

フィットニット・修理技術者のメグヲです。ニット修理を生業にしています。
本格的に暑くなってきました。サマーニットで涼しくコーディネートして夏をエンジョイしたいですね。さて今回はニット製品を作る上で欠かせない糸、その中でも修理の際にちょっと取り扱いの難しい糸についてご紹介します。
ネップヤーン
見てわかる通り、ところどころに粒々がある糸です。この粒々が針穴に引っかかり、針に通らないので「はぐ」ことができません。運良く通ったとしても、今度は粒が目に引っかかったり、粒そのものがほどけてきたりします。
粒が目に引っかかった状態です。これではにっちもさっちもいかず、はぐことができません。
幸いなことにこの製品の場合は糸が2本どりだったため、ネップヤーンを除いた糸ではぐことにしました。
古くなった糸
こちらは以前紹介した古着のニットの写真。古い糸は切れやすく、痩せて細くなりやすいです。ほどいている最中に他の部分が切れてしまうこともあるため、似た糸を使って直す方が無難です。
しかし、厄介なのは糸の色です。月日と共に色褪せているため、似た色の糸はなかなか見つかりません。特に探し難いのは生成り。褪せた生成り色の糸が本当に見つからないので、見かけたらぜひ教えていただきたいくらいです。
こんなに糸をストックしていても、見つからないのが褪せた生成りの糸…。
テグス
見えにくいかもしれませんが、透明な糸が緑の糸のそばにあるのがお分かりいただけるでしょうか。この透明な糸がテグスです。
お分かりいただけただろうか…。下にビローンと出ているのがテグス糸です。
この糸は非常にやりづらいです。硬いし透明だしすぐ絡まるし、ちょっと触ると目落ちするし伸ばすと伸びっぱなしだし…。理由を挙げるときりがない糸です。
ニット修理の仕事に自信がつき始めた頃に立ち塞がってくる強敵です。逆に言えば、こなしていけば自然と更なるステップアップに繋がります。
糸の性質上糸始末が難しく、跡が残る場合も多いため、テグスの修理に関してはお客様とよく相談した上で進めることがほとんどです。
下の写真のようなテグスのみの編み地の場合は特に修理が難しく、場合によっては代替品を使うこともあります。
修理の難しい糸はまだまだ存在しています。今後も紹介していきますのでお楽しみに。フィットニットでは、そんな難しい糸達に真摯に向き合い、最高の修理を提供できるよう日々努力をしています。何かニット製品で困ったときはぜひご相談くださいね。
株式会社フィットニット
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㈱フィットニットの修理技術者。東京・高田馬場にあるフィットニットでは、卓越した技術を持つ修理技術者によるニットの修理・補修のほかリメイクなどを専門に受け付けている。元通りになるのは当たり前。着心地を損なうことなく修復することをポリシーとしている。
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