牽牛花編法(あさがほのあみかた)
『図入毛糸編物法』駒木根貫一郎著 明治20年
近代日本の手芸を研究している北川ケイと申します。
ここでは明治期、ハイカラさんの間で流行した編造花を再現するとともに、作り方のポイントを紹介していきます。
今回は所蔵する明治20年発行、駒木根貫一郎著『図入毛糸編物法』に掲載されている牽牛花編法(あさがほのあみかた)について。
夏の風物詩でもある朝顔は、夏休みの理科の教材にもなっています。毎年7月の七夕の頃、東京下谷で朝顔市は、見事な大輪の朝顔の鉢が並ぶので有名ですね。
本来は薬用として、奈良時代末期ごろから、中国 から渡来しました。 漢名で「牽牛子(ケニゴシ・ケンゴシ)」と呼ばれ、その種子を生薬として用いていました。中国の古医書には、牛を牽いていき、交換の謝礼にしたことが名前の由来だそうです。
朝顔と呼ばれるようになった語源は、早朝に咲くことから「朝の顔」という意味ではなく、早朝に開花し、昼にはしぼんでしまう特徴を、朝の美人の 顔 にたとえたものというから面白いですね。
観賞用として品種改良されて、江戸時代には、2度もブームが起きたほど人気の花でした。朝顔の編み方はすべてかぎ針編みで編まれています。
その編み方をご紹介します。
◇先ず、花を寄せ鎖の編み方にて編みます。◇順々に上に至るに次第に編み広げて漏斗状に作ります。
◇黄色糸にて花しべを作り入れます◇次に緑糸にて蔕を編みます◇蔓は全て銅線に色糸をまとわせて、適宜にその恰好になるように作ります。
残念ながら葉については、記述されていません。挿絵の通りです。そこで、ハイカラさんになって編んでみました。あくまでも参考にして、朝顔の葉になーれと思いながら工夫して編んでみてください。
基本は、長編みの足を長く、ゆったりとたるむ位に編むことです。葉先は、葉先は細編み、鎖1目、細編みにします。
◇鎖30目位編む◇細編み◇長編みを順々に長くして5目◇三目一度を5回◇長編みを順に短くして5目(写真①)
◇葉先の1目に細編み、鎖1目、細編み(尖る)◇反対側を長編みで順々に長くして編む◇三目一度2 目◇右の葉のための鎖13目位を付ける(写真②)
◇3目一度を3目◇葉の上部を編む◇葉先は細編み、鎖1目、細編みにする◇葉の曲線を、長編みの足の長さで調節する(写真③)