アメリカ・サンフランシスコで現地のアメリカ人に編み物を教えて20年になるハヤシチアキです。
第2回目は、RowとRound。
前回の(RS) (WS)と同様、とてもシンプルなことですが、英文パターンで迷子にならないためにはきちんと押さえておきたい単語です。
Rowは往復編みRoundは輪に編むことです。数える時は日本語にしてしまうと同じ「段」なのですが、編み図がない英文パターンでは明確に認識をする必要があります。
このRowとRound、なんの前触れもなしに、突然 RoundからRowに変わることがあります(もちろん逆のケースも)。どんな時に急に変わるかというと、最近多いトップダウンのセーターで、引き返し編みで衿ぐりの前後差をつける時によく出てきます。
グルグルと輪に編んでいたトップダウンのセーター、メリヤス編みのセーターなら表編みだけだし、これは快適!なんて思っていると、突然目数が合わなくなり、一体どこで迷子になってしまったのか…。
両方とも同じRで始まるRow とRoundは、アメリカ人でも変わったことに気が付かず、見逃してしまうことが多々あるのです。
文章のみに集中するあまり、全体像を見ていないことが迷子になってしまう原因の一つです。輪編みから往復編みに変わるのには、理由があります。その理由を考えないでマーカー(目数リング)を一つ見落としてしまったりすると、もう完全にアウトです。
では、迷子にならないためには、どうしたらよいのでしょう?
当たり前のことですが、まず「あれ??」と思ったら、手を止めることです。ところが、この当たり前のことが、文章パターンではどうも当たり前ではないようです。
文章で、説明されている一句一句と自分の手元を交互に見て編み進めていく文章パターンでは、その段の説明を一気に編んでしまわないと、どこまで編んだのか分からなくなってしまうことがあるので、途中で手を止めるのにはちょっと勇気がいるのです。
もう一つ、迷子にならないために、押さえておきたい大事な単語があります。
‘Join’ (つなげる)は、RowからRoundに変わる時に、‘Turn’ (ひっくり返す)は、RoundからRowに変わる時です。
この‘Turn’という単語に関しては、よく質問を受けます。もちろん英語で‘What does this ‘turn’mean??’
え…私に英単語の質問をされても…もちろん、ひっくり返す、編み地をひっくり返す意味でしょう!
英文パターンは、英文ではないのです。簡単な‘Turn’ という言葉でさえ、アメリカ人が私に質問をしてしまうぐらい、アメリカ人にとっても文章パターンは、どうしていいのかわからなくなってしまう時があるのです。
ちなみにこの‘Turn’ という単語は、編み物では、編み地を表裏、ひっくり返すことの意味ですが、場合によっては真っ直ぐに置いてあるものを、ひっくり返さずに、90度向きを変える時にも使われます。ね、アメリカ人ですら迷子になってしまう英文パターン、納得がいきますよね。
今日のまとめ
「あれ、おかしいな?」と思ったら、段/文章の途中であっても、勇気を出して手を止めてください。Row とRoundが、今までと変わっているかもしれません。考えないで文章だけを追いかけて編み進めていける文章パターンだからこそ、迷子にならないためには、早めに手を止めて確認しながら、編み進めてくださいね。
Ravelry:chiaki-hayashi
Instagram (英語):chiakiknit
Instagram (日本語):chiakiknit_jpn
Youtube:@ChiakiHayashi-ow7oe