マーカー(⽬数リング) ⼩さなマーカーの⼤きな役割
アメリカ・サンフランシスコで現地のアメリカ人に編み物を教えて20年になるハヤシチアキです。
医療関係の研究室で働いているスーは、複雑な編み物が⼤好きです。⽂章パターンを、⾃分なりにチャートに書き換えて、パズルを攻略していくように編み物を楽しんでいます。
ところが先⽇、チャートも作って、マーカー(⽬数リング)にもすべて番号をつけて⾊分けをしているのに、どうしても⽬数が合わないと⾔ってプライベートレッスンにやってきました。
「ん〜ここで増やし⽬は必要ないから、どこかで間違えちゃったみたいだね〜」と伝えると、マーカーを⾊分けまでして番号をつけているから、そんなはずはないと、しばらく彼⼥の攻略⽅法の説明を聞かされました。No1のマーカーは⾚、No2は⻘のマーカー…5つの全てのマーカーに番号をつけ⾊分けされていました。
輪にして編むトップダウンのセーターは、編み始めのマーカーの他に4つのラグラン線のマーカー、合計で5つのマーカーが⼊ることがよくあります。引き返し編みで衿ぐりを作る場合には、段の始めのマーカーを通り過ぎて往復することがあります。
そうすると、輪でグルグル⼀⽅向に編んでいる時とは、マーカーの順序は全く変わってしまいます。スーの場合、”Second M”、「2番⽬のマーカー」を、⾃分で⾊分けをした、2番のマーカーと混同したために起きた間違いでした。
この話は極端な例ですが、マーカーの指⽰を間違えてしまうと、⽂章パターンでは道案内を失ってしまい、その瞬間から100%迷⼦になってしまいます。
⽇本の編み図では、⾃分で間違えないように便宜上マーカーを⼊れることはあるかもしれませんが、マーカーを⼊れる指⽰はまずありません。ところが⽂章パターンでは、マーカーが、ある意味編み図の代わりをしていると⾔っても過⾔ではないのです。
“Marker” マーカーは、通常略してM で表⽰されます。
K to M ---マーカーまですべて表編みで編む。
K to 3 sts before M ---マーカーの3⽬⼿前まで表⽬で編む。
マーカーを基点にどうするかの指⽰が⽂章パターンでは全てなされます。
PM – Place Marker , SM – Slip Marker , RM – Remove Marker
これらのマーカーに関する略語も1⽂字違うだけなので、要注意です。左から、マーカーを⼊れる、マーカーを移動させる、マーカーを取り外す。間違えてしまったら、⼤変なことになりますよね。
編んでいる途中に、新しくマーカーを⼊れる指⽰がある時は、特に注意が必要です。理由なしに、マーカーを⼊れることはありません。何段か編んだ後に、「さっき⼊れた新しいマーカーの所で」 なんて指⽰をされる時もあります。
最後に、⼀番厄介なのが、マーカーを落としてしまった時です。うっかりして、いくつかの⽬が同時に針から落ちてしまう時がありますよね。その中にマーカーがあると、どこに⼊っていたのかがわからなくなってしまいます。トップダウンのセーターでは、マーカーの前後で増し⽬をすることが多いので、簡単に起きてしまうことです。
1⽬でも間違えてしまうと、ラグラン線の増し⽬がずれてしまい、かなりほどいてからやり直し、ということがよくあります。
今⽇のまとめ
⽂章パターンでの⼩さなマーカーの⼤きな役割を理解していただけたでしょうか。
英⽂でも⽇本語でも、⽂章パターンには、マーカーはどうしても必要なものです。こればかりは、気をつける、注意するしかありません。
アメリカ⼈の⽣徒さんにもお勧めするのは、Marker に関する表⽰には、編む前に蛍光ペンなどで、印をつけておくことです。そうすることで、全体像も⾒えてきますし、間違いもグッと少なくなりますよ。
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