この連載も18回目。試行錯誤を経て「ニットが好きな学生達や活躍している卒業生のこと」を紹介したいと強く思うようになりました。
今回は連載第1回目にも登場した学生について。当時はニットデザイン科に進級して初めて編んだプルオーバーを紹介しました。
第1回目はこちら
今春、ニットデザイン科を卒業し、在学中より活動していた「ニットドレスデザイナー」として創作活動を本格化させた森竹未来さんです。
ニットにハマったきっかけを聞くと
「 高校生の頃うつ病と摂食障害を患い、明るい気持ちを取り戻すために趣味であった編み物で洋服を作り始めたことがきっかけでニットの世界に魅了されていきました。その経験が今の制作に繋がっています」
きっかけはひとそれぞれ。ニットデザイン科に進級する学生も全く編んだことのない学生から、すでに作品を作ったことのある学生までさまざまです。(カリキュラムでは全く編んだことのない学生が編めるようになるよう指導しています。もちろん編んだことのある学生は同じ課題でもきれいに均一にスピードを持って編めるように)
森竹さんはニットデザイン科進級当初から、かぎ針編みはきれいに早く編むことができていましたが、在学中さらに磨きがかかりました。機械編みや棒針編みも学びましたが、かぎ針編みの作品に感じられる独自の世界観が、他の技法にも広がり、見る人を魅了する作品の数々を作り上げています。
森竹さんの卒業制作は、かぎ針編みが印象的なニットドレス3体。
人の命が光の儚さとリンクしていると捉え、「人生を揺蕩い消えそうになりながらも光を灯している命を持つすべての人たちを優しく抱きしめてあげたい」 という祈りをコンセプトに制作したと言います。
卒業制作は学生生活の集大成です。ニットデザイン科での2年間で得た学びをどう表現していくのか、各自がそれぞれの思いをデザインし、実物制作していきます。
ニットで表現すること、出来ることの可能性や奥深さを学生達は作品と向き合いながら身を持って知ることになります。文化ではショー形式で発表の場もあります。
最近の作品を見せてもらいました。
現在のお仕事について 聞くと、コレクションブランドのハンドニットアイテムを制作しながら、自分自身のブランドでもニットドレスの衣装制作や衣装リース、ニットアイテムの制作・販売をしているそう。詳しくは森竹さんのSNSでチェックしてみてください。
miku moritake
https://mikumoritake.wixsite.com/mikumoritake
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これからの目標や夢・やりたいことを聞いてみると、
「自分のブランドで年1回のコレクション発表を目指し発展させていく予定です。私のようにうつ病や不登校など生きづらさを抱える人たちに向けたサポートも編み物を通してできたら」
「 私が編み物に人生を救われてきたように、私の作る手編みのニットドレスの衣装を通して少しでも優しい気持ちを贈りつつ、この時代だからこそ手仕事の繊細さやニットの可能性を伝えられる存在でありたい」
何事も控え目で、ニットが大好きな森竹さん。彼女が2年生の頃、「一日中ニットのことを考えている」と教えてくれたことがありました。本当にニットが好きなのだなと思った瞬間でした。また、かぎ針編みの花束をいただいたことも。思いがけず大変嬉しかったと同時に「受け取った人の心をこんなにも温めてくれるものなんだ」と感じたことを鮮明に記憶しています。そんな彼女の活躍を祈るばかりです。
さて、いよいよニットの季節本番。編むことで達成感を得ることこそが次のもの作りにつながること、これからも学生に伝えていきたいです。
お知らせ
11月2日~4日文化服装学院では文化祭が行われます。さまざまな学びを一度に見ることができる機会です。皆さま、ぜひお越しください。
文化服装学院 文化祭2024
https://www.bunka-fc.ac.jp/event/culture-festival/
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