目次
あみきをほどく 家庭用編み機の展覧会
開催情報
関連イベント情報
出品作家紹介
暮らしやデザインをテーマに展覧会やイベントを開催している世田谷文化生活情報センター 生活工房にて、戦後に流行した家庭用編み機を紹介する展覧会が開催されます。会期は10月31日から2024年1月21日まで。
大正時代の編み機から、各時代の編み物雑誌、現代作家の作品まで、およそ50 点の資料が展示されるという同展覧会。展示のほかにも、実際に編み機を体験するプログラムや会場ツアー、編み物(手編み)ができる無料スペースの解放も!専門家を招いたトークイベントも開催予定で、トークイベントは、YouTube「編み物チャンネル」でも配信されます。
また、今年8月にはプレイベントとして家庭用編み機にまつわるエピソードや作品をオンラインで募集。その際に世田谷区内外から寄せられたエピソードも紹介されます。
展示やプログラムを通し、気軽に編み機の世界に触れることができるイベントです。ぜひ足を運んでみてくださいね。
あみきをほどく 家庭用編み機の展覧会
〽母さんは 夜なべをして 手袋編んでくれた
──『かあさんの歌』(作詞・作曲:窪田聡)。1956年7月10日発行の『うたごえ新聞』で発表
完成までに多くの時間がかかる手編みは、手芸のなかでもとくに人の想いがこもるモノとして語られてきました。母親が夜なべした手袋は、その典型です。これに対して、戦後に普及した「家庭用編み機」(家庭機)は、誰でも早く簡単に、きれいに編めることが目指されたプロダクトです。
家庭機は、1950年代後半から60年代にかけて流行しました。最盛期には年間100万台が生産されており、花嫁道具としても売り出されています。ミシンと並ぶ定番の家庭用品であり、またニット製品を量産するための仕事道具でもありました。しかし既製服が一般化すると、編み物は「作るもの」から「買うもの」へ、「家事」から「趣味」へとシフトしていきます。やがて家庭機は、徐々にその姿を消していきました。
本展では、各時代の家庭機や編み物、雑誌等の資料を糸口に、この家庭用品を中心に編成された「暮らし」と「編むこと」の関わりを辿ります。あわせて現在も家庭機を使用するニッターの作品も紹介。1923年に萩原まさが考案してはや100年、長らく忘れられてきた家庭用編み機の可能性を再考します。
開催情報
【日時】
2023年10月31日(火)〜 2024年1月21日(日)
9:00〜21:00 月曜休み(祝日は除く)
※ 11月5日(日)は設備点検のため休室
※ 12月29日(金)〜 1月3日(水)は年末年始のため休室
【会場】
生活工房ギャラリー(三軒茶屋・キャロットタワー3階)
東京都世田谷区太子堂4-1-1
東急田園都市線・世田谷線「三軒茶屋」駅直結
東急・小田急バス「三軒茶屋」停留所そば
www.setagaya-ldc.net
【料金】
入場無料
関連イベント情報
ウィークエンド・ニッティング
2023年11月と2024年1月の3日間、家庭機と編み物に触れるイベントを連日開催。会場では毛糸や手編みキットなども販売します。
【日時】
2023年11月17日(金)~ 19日(日)
2024年1月19日(金)~ 21日(日)
【会場】
生活工房ワークショップルーム(キャロットタワー4 階)
【参加費】
無料(トークイベントのみ有料)
●会場ツアー 展示をまわる、編み機をさわる
展示品や家庭機の解説を聞きながら会場をまわり、実際に編み機で編み物をします。ツアー後は家庭機に関する相談も受け付けます。
【日時】
2023年11月17日(金)~ 19日(日)
2024年1月19日(金)~ 21日(日)
① 11:00~ ② 14:00~ ③ 16:00~ 各回40分程度
※11月19日(日)は ① 11:00~ のみ開催
【定員】
各回8名(先着)
【申し込み方法】
2023年10月1日(日)10:00 より、生活工房Webサイトにて
●ニットスペース ほったらかし手編み倶楽部
編み物ができるスペースを無料解放します。手編みの道具と毛糸をご持参いただくか、会場で販売している毛糸やキットをご利用ください。なお、家庭機のご用意はありません。
【日時】
2023年11月17日(金)~ 19日(日)
2024年1月19日(金)~ 21日(日)
10:00~17:00
※入退場自由
※申込不要、直接会場へ
●トーク あみきをほどく 編み機の来し方行く末
家庭用編み機の歴史から現在まで、ゲストがざっくばらんにおしゃべりするトークイベント。私たちの「編み物」に与えた影響を考えます。YouTube「編み物チャンネル」(日本ヴォーグ社)の無料配信もあります。
聞き手|横山起也(編みキノコ作家/ NPO 法人LIFE KNIT)
ゲスト|北川ケイ(彩レース資料室/近代日本西洋技芸史研究家)、田沼英治(Knittingbird)
【日時】
11月19日(日)15:00~17:00
【定員】
40名(先着)
【参加費】
500 円(当日現金払い)
【申し込み方法】
10月1日(日)10:00より、生活工房Webサイトにて
出品作家紹介
●編み物☆堀ノ内(あみもの ほりのうち)
編み物作家/ニットデザイナー。1967年生まれ。桑沢デザイン研究所を卒業後、グラフィックデザイナーに。2012年頃より「編み物☆堀ノ内」名義で編み物作家として活動開始。家庭用編み機を使用してニット作品を制作している。2018年よりMEDICOM TOY とのニットブランド“KNIT GANG COUNCIL” も始動。アーティストやギャラリーとのコラボニットも多く手掛ける。
●近あづき(こん あづき)
武蔵野美術大学在学中より編み物技法を用いて立体作品を作り始め、ファッションブランド「YAB-YUM」2010-11AW コレクションにて「pipi-goldfish」名義で作品提供を行う。その後、複数の国内外ブランドから家庭用編み機・手編みでのニッター業務を委託され、近年はCM・テレビドラマへの衣装提供、技術指導を行っている。2014年より黄金町AIR参加。黄金町芸術学校編み物教室を主宰している。
●丹治基浩(たんじ もとひろ)
慶應義塾大学卒業後、イギリスのノッティンガムトレント大学 MA ニットウェアデザイン科を首席で卒業。卒業後、様々なメゾンにニットテキスタイルを提供するAcorn Conceptual Textiles に勤務。2012年に帰国し、ファッションニットブランドMotohiro Tanji を設立。2015年紅白歌合戦のMISIAの衣装製作、2021年パラリンピック閉会式の舞台美術としてニット製作を担当するなど、多岐に渡り展開している。
●宮田明日鹿(みやた あすか)
1985年愛知県生まれ、三重県拠点。桑沢デザイン研究所卒業。ニット、テキスタイル、改造した家庭用電子編み機、手芸などの技法で作品を制作。自分や他人の記憶を用いて新たな物語を立ち上げ、顧みることなく継承されてきた慣習や風習に疑問を投げかけている。近年では、手芸文化を通して様々なまちの人とコミュニティを形成するプロジェクトを各地で立ち上げている。
●LOVE it ONCE MORE(ラヴィットワンスモア)
余剰糸や寄付糸を使用したニットアイテムを展開するアップサイクルブランド。デザイナーはMaro Kuratani。神戸市生まれ、大阪文化服装学院ニットコースを終了後、企業のニットデザイナーを経て独立。2019年に「LOVE it ONCE MORE(ラヴィットワンスモア)」を立ち上げる。ヘッドスカーフにもなるストールは、家庭機も用いたオールハンドメイド。
生活工房 Webサイト
https://www.setagaya-ldc.net/program/580/
生活工房 Instagram
【主催】
公益財団法人せたがや文化財団 生活工房
【協力】
Knittingbird、一般社団法人彩レース資料室
【後援】
世田谷区、世田谷区教育委員会