子どもたちに藍染めの美しさを伝えたい
毛糸だま2018年秋号の世界手芸紀行『チェコの藍染め 受け継がれる伝統の染色技法』に寄稿いただいたヴィオルカの小川里枝さんの翻訳した絵本が発売されました。
この絵本はチェコで2020年に出版され、子どもたちに藍染めの美しさや継承の大切さを美しいイラストレーションで伝える内容になっています。
原作者は南モラヴィアのホドニーン市美術館のキュレーター、イラストレーターは、ボローニャ国際絵本原画展に入選した若き実力派です。3年越しの出版を記念して2024年1月に東京で展示会もされるようです。
チェコの伝統文化に興味のある方は、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
『藍染めのアポレンカ』
原作:ロマナ・コシュトコヴァー
絵:ヴェロニカ・ヴルコヴァー、ヤン・シュラーメク
翻訳:小川里枝
出版:求龍堂
A4変型 オールカラー48ページ
2 ,750円(税込み)
内容についてはこちら
https://www.kyuryudo.co.jp/shopdetail/000000002188/ct152/page1/recommend/
『藍染めのアポレンカ』出版記念 チェコの藍染め展(東京)
会期:2024年1月19日(金)〜21日(日)
※小川里枝さん在廊日:1月21日(日)
トークイベント1月21日(日)16:00〜17:30
https://talkevent20240121.peatix.com/
会場:アトリエシムラ成城店
東京都世田谷区成城2-20-7
Tel 03-6411-1215
https://www.atelier-shimura.jp/blogs/gallery/czech_indigo
小川里枝さんからのメッセージ
チェコの藍染めに限らず、日本でも伝統工芸一般には後継者不足などによる技術継承の課題がある。それを知ってもらうにはどうしたらいいかという問題意識とともに日本で仕事をしてきました。
チェコにも同じ問題意識を持ち、さらにこうした洗練された方法で作品に昇華させた原作者とイラストレーターの仕事を見て、とても感動しました。日本でもぜひこの感動を紹介できたらと、3年かかりましたが、ようやく出版することができました。
原作者のロマナさんとは2020年より対話を重ねてきました。ほかの国でも出版の話が進みつつありますが、特に手仕事の伝統に敬意を払う日本の人たちに届くことをとても楽しみにしてくれています。
また、この度ご縁をいただき、アトリエシムラさんで、絵本の出版記念展を開催することとなりました。
アトリエシムラさんは、染織家・志村ふくみ先生、志村洋子先生の芸術精神を継承、発展させるために、2016年、志村ふくみ先生の孫である志村昌司氏を中心とした次世代の作り手たちによって設立された染織ブランドです。
植物の色彩世界に魅了され、京都と東京の工房に集った作り手さんにより、一点ものの商品をひとつひとつ制作され、また染織を通して豊かな思想を継承し、時代にふさわしい活動のあり方を日々探求しながら、新しい試みを続けていらっしゃいます。
今回の展示会では、『藍染めのアポレンカ』本文額装のほか、藍染めを使ったチェコの民族衣装のエプロンやチェコの藍染めを使った着物、帯を展示します。
『藍染めのアポレンカ』Special Edition:箔押し背継クロス装 300部限定(本体価格:税別3,800円)の販売およびチェコの藍染め生地の販売も行います。
チェコの文化紹介の仕事を発展させてゆきたいという希望の第一歩がようやく踏み出せました。これからのヴィオルカの仕事にも、どうぞご期待くださいませ。
小川里枝プロフィール
ヴィオルカ主宰。高崎市美術館が姉妹都市プルゼニュ市の協力で開催した「ボヘミアガラスの100年」展を学芸員として担当し、チェコの芸術・文化に出合う。その後4年間滞在したプラハでは、カレル大学でチェコ語やチェコ美術を学ぶと同時に、各地の美術・博物館や作家を訪ねる。駐日チェコ大使館勤務後、2014年ヴィオルカを設立。藍染めの紹介をはじめとし、チェコの文化や芸術を日本に伝える活動を開始する。美術展カタログの翻訳等にも携わっている。