あみものいろいろ

認知症の方を編み物で支援「ケアマフを編む会」【認知症マフ】

公開日 2023.04.21 更新日 2023.06.30
ライター=日本ヴォーグ社ニットチーム

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日本ヴォーグ社ニットチーム
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目次

「認知症マフ」と「ケアマフを編む会」について

元看護師でさいたま市中心に手編み講師、ユニバーサルかぎ針「あみ~ちぇ」の講師として活動中の平田のぶ子さん。ボランティアグループ「ケアマフを編む会」の代表として活動しています。

画像1ケアマフを持つ「ケアマフを編む会」のメンバー。(左から)平田さん、柴田さん、野島さん。


「ケアマフ」とは、平田さんたちが「認知症マフ」につけた別名で、全国にある認知症マフを編むボランティアグループごとにいろいろな名前で呼ばれているそう。

画像2ケアマフ(認知症マフ)


認知症マフと呼ばれている手編みの円筒形の防寒具・マフは、編み物大国イギリス発祥。認知症高齢者のケアに使われており、カラフルでふかふかのマフに手を入れることで指先を温められ、気持ちも落ち着くといいます。

画像3カラフルなケアマフ。気持ちも明るくなる


イギリスでは「Twiddle Muff」と呼ばれ、マフの内側と外側にはポンポンなどの飾りがついています。Twiddleとは「手でいじる」という意味で、マフについた飾りを触って楽しむことで心に安らぎを与えることができるそうです。

画像4「ケアマフを編む会」編み会の参加者の皆さん(奥)と、ケアマフにつける飾り用の小物(手前)。飾りには、誤飲などの事故を防ぐための工夫が


日本では5年ほど前から朝日新聞厚生文化事業団が普及活動を行っており、ワークショップなどを開催しています。


2022年7月14日の朝日新聞の記事で認知症マフのことを知り、すぐに支援活動がしたいと思ったという平田さん。インスタライブで認知症マフについて発信すると大きな反響があり、同じ思いを持つ仲間と同年9月にボランティアグループ「ケアマフを編む会」を立ち上げました。


月1回のケアマフ編み会を会場とオンラインで交互に開催しているほか、新宿左門町にある「健脳カフェ」で、「手編み倶楽部」というプログラムを月に2回開催しています。


編み会には全国から参加者が集まり、関心の高さがうかがえると平田さん。編み物好きな方はもちろん、医療や介護関係者の方が参加することも多いそうです。

画像5編み会には、編み物好きな方はもちろん、医療や介護関係者の方が参加することも


健脳カフェは、認知症予防・治療の第一人者である新井平伊さんが院長を務めるアルツクリニック東京が監修。精神医療の専門医が常駐しており、認知症予防活動に力を入れています。ケアマフを編む会が開催する手編み倶楽部では、ケアマフやマフに付ける小物を編むことができます。手を動かしたり、目を数えたりする編み物は脳へのいい刺激となるそう。(要申し込み)

画像6東京メトロ丸の内線四谷三丁目駅近くの健脳カフェで、「手編み倶楽部」を定期開催している


また、ケアマフや毛糸の寄付も受け付けています。編み物で社会に貢献できる活動です。ぜひ参加してみてくださいね。


※寄付の際は記事下部の注意点をご確認ください。寄付するケアマフには、使用者の誤飲などの事故を防ぐために守るべき基準がありますので注意が必要です。

画像7オンライン編み会も人気

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ユニバーサルかぎ針「あみ~ちぇ」

高齢になり手指に力が入らない、病気の為に手指を自由に動かせないなどの症状のある人でも使用できるかぎ針。

画像8ユニバーサルかぎ針「あみ~ちぇ」


かぎ針を握らなくてもゴムバンドで手に固定して使用できるため、かぎ針を握りにくくなってかぎ針編みをあきらめていた方も、再びかぎ針編みができます。

画像9ゴムバンドで手に固定できる


平田さんが、「握りやすいかぎ針はたくさんあるけれど、握ることが難しくなった人が使えるかぎ針は今までありませんでした。ならば私が作ろう!」との思いで開発された製品です。

画像10かぎ針を握らなくてもかぎ針編みが楽しめる


ユニバーサルかぎ針を使えば、手指が不自由でも編み物を楽しむことができます。使い方講習(出張可)なども行っているそうです。

画像11講習の様子


ユニバーサルかぎ針「あみ~ちぇ」の詳細はこちらから

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ケアマフを編む会代表・平田のぶ子さんより

当会は認知症マフと呼ばれているケアマフを編むボランティアグループです。当会では認知症マフのことを《ケアマフ》と名付けています。


好きな編みもので、誰かの役に立ちたいと思ってくれる皆さまと一緒に、ケアマフを編み、使っていただける患者様や医療・リハビリ・介護施設にお届けします。


それぞれの専門家のタテヨコのネットワークを繋ぎ、編み物を医療の世界に生かすお手伝いをしています。

画像12(左上から時計回りに)ケアマフ、ケアマフを編む様子、飾り用の小物、編み会参加者の皆さん


厚生労働省の試算によると、認知症の方は2025年には約700万人に上る想定で、これは65歳以上の5人に1人の割合となるそうです。10年前の1.5倍だとか。これはもう他人事ではないと思います。しかも待ったなしの社会課題です。


私たちもその社会で生きていくので、これからの社会が少しでも優しくなるよう、その一助となれるよう、できることから始めていこうと思っています。


好きな編み物が誰かのお役に立てれば、そういう思いで主宰スタッフ3人と参加メンバーと活動しております。


ケアマフを編む会

Instagram:@caremuff_knittingclub

Twitter:@caremuff


平田のぶ子さん

Instagram:@potenyon

Twitter:@amiami_Amiche


活動について

【ケアマフ編み会】

毎月1回、会場・オンライン交互に開催中。

お申し込み方法・詳細は、ケアマフを編む会のInstagramTwitterにてご確認ください。


【健脳カフェ 手編み倶楽部】

毎月第1、第3火曜日10:30~11:30

お申し込み方法・詳細は、ケアマフを編む会のInstagramTwitterにてご確認ください。


毛糸の寄付について

ケアマフを編む会では、現在「在庫毛糸寄付」を募集中です。使えていない毛糸がある方、ぜひ寄付もご検討ください。※最新の募集状況は、平田さんのSNSにて随時ご確認ください。


詳細は平田さんのTwitterのこちらのツイートをご参照ください。


・触って柔らかい糸なら素材はなんでも

・アクリル糸は、ゴワゴワのたわし用糸は。手触りの良いものなら

・糸色は明るい色や原色が見やすいので

・ネップのある糸、ラメとの引き揃え糸は

・太さはなんでも

・古い糸も未使用劣化なしなら


ケアマフの寄付・注意点について

ケアマフを編む会では、ケアマフの寄付も受け付けています。編み会で編んだマフや、ご自身で編んだマフを寄付することができます。寄付するケアマフには、使用者の誤飲などの事故を防ぐために守るべき基準がありますのでご注意ください。まずは、会場もしくはオンラインのケアマフ編み会に参加するのがおすすめです。


また、YouTubeには平田さんの「ケアマフ編みの解説動画」も投稿されています。注意するポイントなどが説明されているので、こちらもぜひ参考にしてください。


<お問い合わせ方法>

毛糸・ケアマフの寄付に関するお問い合わせは、SNSのダイレクトメール、Eメール、お電話にて受け付けています。

平田さん Twitter:@amiami_Amiche

ケアマフを編む会 Instagram:@care muff_knittingclub

Eメール:amiami.amici@gmail.com

電話:090-6512-5158


参考

朝日新聞厚生文化事業団認知症マフを作ろう!製作Webサイト

朝日新聞Reライフ.net『「認知症マフ」を知ってますか? 手を入れて、ふんわりほっこり筒状ニット』

日本ヴォーグ社ニットチーム
ライタープロフィール / 日本ヴォーグ社ニットチーム
編み物大好き!日本ヴォーグ社の編み物業務に関わるチーム。毛糸だまやニットマルシェをはじめとする出版事業から通販、ウェブ、KeitoやSNSの運営など、同じく編み物大好きな皆様に喜んでもらえるよう日々活動しています!
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