あみものピープル

「色で芽吹く糸」伊藤まみさん

公開日 2026.10.07 ライター=多賀谷浩子

コラム
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多賀谷浩子
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今回のゲスト、伊藤まみさんが染めるChappy Yarnの大きな魅力は色。


自然界の色は、空も木々の緑も単色でなく、光や影、風や温度、さまざまな要素が混ざり合って複雑な色が織りなされていますが、伊藤さんの糸にも、そんな魅力があるのです。取材したのは都内某所の工房。


画像1アトリエには色のサンプルとなる糸たちが並びます
画像2ラベルのイラストは娘さんによるもの


「染める作業には広さが必要なので、最近、越してきました。ここは子どもの頃、10年ほど油絵を習っていた地域なんです。やはり懐かしいです」


絵の先生が印象派がお好きだったそうで、伊藤さんの糸もそんな影響を感じるところも。もうひとつ、自身を形成してきた場所が香港。


画像3きちっと整頓された染色用の道具たち
画像4染色の様子を少しだけ見せてくれました


「大学で中国文学を専攻しまして、卒業後、香港で就職しました。もう20年以上前になります。そこで結婚して、育児も香港でしていました」


その色にも影響を受けたそう。


「香港の人たちは、例えばオレンジと紫のように日本の人たちがあまり合わせない色を合わせたりする。そこから香港の街独特の色彩が生まれている気がします。日本では目立たないように人と同じ色を着たりしますが、香港の人は鮮やかな好きな色を堂々と着るんです。


周りの人がどう思うかより、好きな色を楽しむ精神は素敵だなと思います。ウォン・カーウァイの映画の色彩も、いつか糸にしてみたいと思うんですよ」


他にも『アメリ』など、映画の色を染めてみたくなるのだそう。


単に好きな色を染めるのでなく、何かに感動したことが、自身の内なる回路を通して糸になって出てくる。表現として生み出される微妙で説明のつかない色彩は、もはやアート。


画像5アトリエにはサンプル作品も多数保管。テストニットしてから商品化していくそう
画像6編んだ状態の色の出方にも細心の注意を。色と模様の調和が見る人を魅了します


「ギャラリーで展示した時に、糸そのものがアートとおっしゃっていただいて。海外だと個性的な糸も多いので、糸そのものをアートと考えるところもありますよね。アートであり、素材でもある。その素材を皆さんが自由に自分の作品として二次制作してくださるのがうれしいです」


毛糸だまでの連載「世界の糸を巡る旅」でもおなじみの伊藤さんですが、スコットランドの旅から生まれた糸も。


「スコットランドのパブに行った時の色や雰囲気を凝縮したのが、この糸です。ウイスキーのこと、現地ではウォーター・オブ・ライフって言うんですよ。お酒が好きな人が、これは命の水だよっていう言い訳も込められている

のでしょうね(笑)」


画像7染めた糸で編んだ作品と共に


他にはない絵画的な色の混ざり方は、感動を呼ぶほど。染める過程で好きなのが、スペックルという作業。


「粉を散らして、つぶつぶ模様を作るんです。どう定着するか、仕上がりが読めないのも面白い。料理と一緒で、やりすぎるとダメなんだなと思います。


画像8染色の際に身につける粉塵防止マスクと何より大切なレシピ


商品は再現できるように細かくレシピを書くのですが、染めることが楽しみでなく、ルーティンになってしまうのが怖いので、忙しい時は『一期一会の糸』といって、その場でレシピなしに染めて、楽しさを取り戻すようにしています」


画像9編まれた人気の作品とロゴにもなっているチャッピー人形。娘さんのイラストがベースに


そうやって生まれる、命を持った糸。伊藤さんの心を動かした日々の出会いが糸になる。生まれるたびに新しい糸、これからも楽しみです。



伊藤まみ:いとうまみ

香港と東京の2拠点で活動するハンドダイヤー。香港で糸染めの魅力に取りつかれChappy Yarnを立ち上げる。日常や旅先からインスピレーションを得た色彩表現は編む人を魅了し続けている。各デザイナーや糸メーカーとのコラボ多数。お酒好き。

www.chappyyarn.com/

Instagram:@chappyyarn


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多賀谷浩子
ライタープロフィール / 多賀谷浩子
ライター。『日本映画ナビ』『ステージナビ』をはじめ、新聞・雑誌・ウェブサイト・劇場パンフレットなどで、映画・演劇に関するエッセイやインタビューを執筆。ミサワホームのウェブサイトにて「映画の中の家」、高校生に向けたサイトMammo tvにて「映画のある生活」の他数誌にて映画コラム連載中。
多賀谷浩子
ライタープロフィール / 多賀谷浩子
ライター。『日本映画ナビ』『ステージナビ』をはじめ、新聞・雑誌・ウェブサイト・劇場パンフレットなどで、映画・演劇に関するエッセイやインタビューを執筆。ミサワホームのウェブサイトにて「映画の中の家」、高校生に向けたサイトMammo tvにて「映画のある生活」の他数誌にて映画コラム連載中。
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