編み物には衣類など実用品として編まれるものと、装飾品として編まれるものがあります。
今回ご紹介するクンストストリッケンは、直訳すると「芸術編み」という意味で、室内装飾品としてドイツで伝えられてきた、棒針による華麗なレース編みです。
かけ目でできる透かし模様が主体で、さまざまな編み目の配置とその変化によりデリケートな柄が構成されます。中心から編み始めるものが多く、1つの模様を何回かくり返して編み、円形、楕円形、四角形、六角形など色々な形を作ります。
花柄や幾何学模様を自由に創作して編む楽しさがあり、編み上がりは繊細で、しかも豪華でまさに「芸術編み」と言えます。
ドイツには、クンストストリッケンを芸術にまで高めたとされる、ヘルベルト・ニーブリング(1903~1966)という男性デザイナーがいました。ニーブリングの作品は年を重ねるごとに繊細さを増していったと言われています。
晩年には細い200番手の綿糸で1メートル四方のテーブルクロスを編み上げ、それは指輪の穴を通過するほどだったそうです。
2014年1月に、日本では18年ぶりになるクンストストリッケンの本「芸術編みクンストレース(日本ヴォーグ社)」を出版しました。
初級・中級・上級と作品のバリエーションを豊富にして、棒針編みのできる方なら誰でも編むことができるようにと心がけました。この本を皆さんに楽しんで使っていただければ幸いです。